なぜ新型トヨタ・ミライは5人乗りになったのか? 堂々の“フラグシップ宣言”はクラウン・セダン廃止への布石か
“フラグシップ”という言葉を強調している印象を受けます。
清水:燃料電池自動車ならではの高い静粛性や快適な乗り心地が、ハイクラスのクルマにフィットするからです。とくに新型は、プレミアム性をさらに高め、初代以上に普及させたいと考えています。
ホンダ「クラリティFUEL CELL」やヒュンダイ「ネッソ」などのライバルに対するアドバンテージは?
清水:流麗なスタイル、走り、そして居住性と航続距離です。
満充填時の航続可能距離は850km(WLTCモード)ということですが、水素ステーションの数はどうなんでしょうか。
清水:水素ステーションの数自体は、国の計画通りに増えています。計画では2020年に140箇所、2025年に320箇所、2030年に900箇所に増やすのが目標とのことです。ただ、燃料電池自動車の台数が計画ほど増えていないのが実情です。したがって、われわれとしては燃料電池自動車をより普及させるべく、2代目MIRAIを開発しました。
水素ステーションの今後は?
清水:日本水素ステーションネットワーク合同会社という水素インフラの普及を後押しする組織があり、積極的な施策を打ち出しています。たとえば、利便性を向上させるため、水素ステーションの営業時間延長についても話し合われています。
想定するターゲットは?
清水:欧州のプレミアム・ブランド、俗に言う“ジャーマン3”の所有者です。あとはテスラなどのEV(電気自動車)所有者も想定しています。たとえば、EVの充電施設がないタワーマンションにお住まいの人なども含みます。走行性能を大幅に高めたモデルなので、“走りの気持ち良さ”を重視する人にも勧めたいです。
文・稲垣邦康 写真・田村翔