戦車内部から遺骨発見/ペリリュー島・青森県慰霊団
太平洋戦争の戦場となった南洋の島国パラオを訪れている青森県慰霊団は14日、ペリリュー島で旧日本軍戦車の発掘作業に立ち会った。戦車は、慰霊団の一員である六戸町の田中恭子さん(84)の父で、80年前の戦闘で亡くなった将一さん(享年24)が乗っていた「むつ」かどうかは特定できなかったが、内部から遺骨が見つかった。田中さんは「どなたのご遺骨でも、戦車の中から出てきたら父の仲間と思っております。ありがたいです」と語った。 激戦地ペリリュー島の南西部には数両の九五式軽戦車が埋まっている。このうち1両の掘り出し作業を、日本戦没者遺骨収集推進協会(東京)が今月上旬から行っていた。同協会職員ら約10人が中に詰まっていた土砂をかき出したところ、骨片や歯が見つかった。 14日は作業の最終日。約2メートル掘り下げた土の中に、逆さまになった戦車が見えていた。田中さんと、戦車隊の兄を亡くした千葉県の丁子(ようろご)八重子さん(87)が同協会職員から作業の説明を受けた。同協会によると、砲塔周辺に戦車名が書かれている可能性があったが、確認できなかった。 田中さん、丁子さんはそろって発掘作業への感謝を口にし、穴の中に降りて戦車を間近に見つめた。 「あなたはむつなの?」としゃがみ込んだ田中さん。「むつ」の文字がないか、自分の目で確かめずにはいられなかった。何度ものぞいて見たが、やっぱり書いていなかった。それでも、田中さんの表情は晴れやかだ。声には出さず、戦車に語りかけた。「久しぶりの光だから、まぶしいでしょう。平和な光ですよ」