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新型肺炎、日本経済にも深刻な影響 GDP7760億円押し下げ、訪日中国人客7割減に現実味

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 中国の湖北省・武漢で発生した新型コロナウイルス感染は、日々拡大を続け、現在のところ終息のめどは全く立っていない。米中貿易協議の部分合意の成立によって、下方リスクが緩和されたかに見えた世界経済に、新たな懸念が浮上した形だ。世界経済、そして日本経済にどのような影響をもたらすのだろうか。これを考える上で、2003年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)の経験が参考になるだろう。(野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト=木内登英)  ▽影響、SARSの時の4倍  中国では既に一部地域で、工場の操業停止、物流の遮断などが見られる。さらに小売店舗の営業停止などは、より幅広い範囲に広がっている。当面の中国経済に悪影響を与えることはほぼ確実である。  SARSの際に初期対応が遅れたと世界から批判を浴びた中国政府は、その後の2003年前半に、SARS封じ込めにかなりの強硬策を講じた。そのため、中国は事実上封鎖に近い状態になったのである。北京は1989年の天安門事件以来、最も強い厳戒態勢が敷かれ、映画館やディスコなどの娯楽施設は全て閉鎖された。北京市内の五つ星ホテルは空室率が80%にまで上昇したという。

 その結果、SARSの拡大が本格化した2003年4―6月期の中国の実質国内総生産(GDP)成長率は、前年同期比プラス9%程度と、前期1―3月期の同プラス11%程度から一時的に2ポイント程度低下した。同様なことが今回の新型肺炎で生じる場合、世界経済への影響は当時と比べて格段に大きいはずだ。これは、中国経済の規模が大幅に高まったからに他ならない。  IMF(国際通貨基金)の統計によると、中国の名目GDPが、世界のGDPに占める比率は、2002年の4・3%から2019年には16・3%へと4倍近く高まった。仮にSARS発生時と同程度に中国の成長率が低下した場合、世界の成長率の押し下げ効果も4倍近くとなるのである。  中国のGDPがSARSの時と同様にこの1―3月期に2%低下する場合、世界のGDPは直接的に0・33%押し下げられる計算となる。他にも中国経済悪化の影響が他国に波及する効果も考慮しなければならない。SARSの時と比べて、中国企業が生産などの国際分業体制「グローバル・バリューチェーン」に一層組み込まれている可能性があるからだ。その場合、中国での生産停止の影響はより大きく、他国の生産活動にも及ぶはずだ。

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