女優・小泉今日子の飾らない魅力...自然体の演技が光る「愛猫との愛おしい日々」
1982年3月に「私の16才」で歌手デビューしてから今年で40周年を迎えた小泉今日子。そんな特別な"記念日"に合わせて、今年2・3月には31年ぶりとなる全国ホールツアー「小泉今日子 TOUR 2022 KKPP (Kyoko Koizumi Pop Party)」も開催されるなど、希代のポップスターとしての魅力は今も変わらないままだ。 【写真を見る】主演第2作「ボクの女に手を出すな」の小泉今日子 既存のアイドル像を塗り替え、様々な分野で多面的に活躍してきた小泉だが、スクリーンでもその存在感は際立っている。キャリア初期の100%アイドルだった"キョンキョン"の魅力がそのまま凝縮され、主題歌「木枯しに抱かれて」も大ヒットした主演第2作『ボクの女に手を出すな』(1986年)や、おしゃれでチャーミングな"快盗"に扮した『快盗ルビイ』(1988年)などからも、当時のコケティッシュな魅力は見て取れる。 2000年代以降、作品規模の大小やジャンルを問わず映画への出演が相次ぐが、その中でも印象深い主演作といえば『グーグーだって猫である』(2008年)だ。 小泉自身も憧れを抱いていた少女漫画界の伝説的存在であり、猫好きとしても有名な大島弓子の同名エッセイ漫画を犬童一心監督が映画化。漫画家と飼い猫グーグーとの日々がつづられていくハートウォーミングな物語は、後に再び犬童監督の手によって、宮沢りえ主演でドラマ化されるほどのヒット作となった。 小泉が演じているのは吉祥寺に住む天才漫画家・麻子。多くのアシスタントを抱える売れっ子だが、ある日愛猫サバを失い、悲しみから漫画が描けなくなってしまう。そんな時、運命的に出会った子猫をグーグーと名付け、新たな生活へと踏み出していく。 当時、役と同じく猫を飼っていたという小泉は、柔らかなウェーブのかかったボブスタイルや穏やかな口調、猫に向けられる愛のある眼差しなど、ほんわかとした空気をまとい、一人気ままに楽しく生きている女性像を自然体な演技で表現した。 それと同時にどこか達観したような表情も浮かべ、寂しさや諦めのような感情を滲ませた繊細な一面も見事に浮かび上がらせた。当時40代に突入したタイミングで見せた、肩の力が抜けたナチュラルな魅力が詰まったハマり役だ。 また、細野晴臣とデュエットし、当時5年ぶりの新曲となった主題歌「good good」を担当していることもファンにとっては嬉しいトピックだ。ささやくような優しい歌い方と特有のハスキーな歌声で、何気ない日常の素晴らしさを謳う映画の世界観を表現してみせた。 さらに麻子に代わって一時的にグーグーの面倒をみることになるアシスタントのナオミ役に上野樹里、麻子と恋に落ちる青自役に加瀬亮と、自然体で飾らない魅力を持った人気俳優たちが集い、麻子の愛おしい日常を彩っている。 井の頭公園をはじめとした自然豊かな吉祥寺の街並みも、作品の雰囲気にマッチしている。猫の人気が高まる今見返すと"シンプルに今を大切にする日常"を見つめる作品として、心に響くのではないだろうか。 文=HOMINIS編集部
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