令和の時代にまさか!?「パンチパーマ再ブーム」の謎に迫る
「怖い」「ダサい」「大仏みたい」と敬遠され今やすっかり"絶滅危惧種"となったパンチパーマ。だがサイドを刈り上げる新スタイルで今、若者を中心に再ブームの兆しだとか。 【画像】パンチパーマの仕上げ方 政治、経済、外交と"パンチ"の足りない現代日本でなぜ今、パンチなのか? * * * ■サイドを刈り上げる現代風の「新パンチ」 「パンチパーマ」に関するネットニュースがバズり、大盛り上がりとなったのは今年8月初旬のこと。なんでも岐阜県内にある「パンチパーマ普及委員会」なる組織が新スタイルのパンチパーマを提唱し、再ブームの拠点になっているという。 普及を図っているのは関市在住の自称パンチパーマ愛好家・秋山和宏さん(38歳)と理容店「ボノ・ヘアー」の理容師、久後靖幸(くご・やすゆき)さん(44歳)のふたりだ。 秋山さんがパンチパーマに出会ったのは今から約4年前のこと。 「自分は造園業者として屋外で作業帽をかぶることが多いんですが、汗で髪の毛がベタっと寝てしまい、しかもセンター分けでへばりつく。めっちゃカッコ悪い上にお客さまにも失礼だといつも気になっていました。そこで頭に浮かんだのが復元力抜群で、手ぐしだけでサッと髪型が整うパンチパーマだったんです」 ところが、どこの理容店に行っても「パンチパーマ? できません」と断られてしまう。90年代のブーム終焉(しゅうえん)とともにパンチパーマ技術を継承する理容師がほとんどいなくなり、どの店も注文に応じることができなかったのだ。 そんな秋山さんの救世主になったのが「ボノ・ヘアー」の久後さんだった。 「秋山さんが店のドアを開け、開口一番『パンチできます?』と聞いてきたときにはびっくりしました(笑)。パンチパーマなんてもう12、13年もやったことがなかったものですから」(久後さん) しかも秋山さんがオーダーしたのは、頭全体にアイロンを当てる「フルパンチ」でなく、サイドをバリカンで刈り上げ、頭頂部だけにパンチパーマを施す当時としては斬新なもの。後に「新パンチ」と呼ばれるスタイルだった。 「フルパンチだとサブちゃん(北島三郎)みたいになっちゃうからちょっと違うなぁと(笑)。でも上だけパンチにしたらオシャレに見えると思ったんです」(秋山さん) サイドを短く刈り上げるのは欧州で流行中のバーバースタイルで、これに日本のパンチパーマを融合させたヘアスタイルの仕上がりに秋山さんは大感激。 「みんなが思っているパンチよりも自然な仕上がりなので『えっ、それパンチなの?』『カッコいいじゃん』と周囲の評判は上々でした。その上、どんな寝癖や帽子の癖も手ぐしだけで元のスタイルに戻る。もう二度と別のヘアスタイルには戻れません。このパンチの素晴らしさをひとりでも多くの人に勧めたいと思ったんです」(秋山さん) これが日本初の「パンチパーマ普及委員会」が生まれた瞬間だった。とはいえ、会員数わずか2名の極小組織。地道に草の根PR活動を続けたものの、その存在が知られることはほとんどなかった。 ところが、今年8月にひょんなことから普及委員会の存在がネットニュースでバズると、大きな変化が。 「ネットを見て、『パンチにしてほしい』というお客さんが徐々に増えるようになったんです。ありがたいことに口コミや紹介などで県内だけでなく、県外からもお客さんが来るようになりました」(久後さん) さらに久後さんらを驚かせたのは、旧来のパンチスタイルを要望する声も少なくないことだ。 「意外にも緩く巻いた現代風パンチや、ウエットジェルで濡れた感じに仕上げる濡れパンより、昔ながらにキツく巻いたゴリゴリのパンチスタイルを希望するお客さんも多くて驚きました」(久後さん) 一度は消滅したかに思えたパンチパーマが、令和の時代にまさかの復権を見せているというわけだ。