フランスで厳しい干ばつ、飲み水が不足する町も
フランスで歴史的な干ばつが続き100以上の自治体が水不足に直面する中、フランス政府は5日、危機対策チームを立ち上げた。 フランス政府のクリストフ・ベシュ・エコロジー転換相は、「水道管にもう何も残っていない」ため、水不足の自治体に給水車を派遣していると述べた。 首相官邸によると、フランスの観測史上最悪の干ばつだという。93の地域で、水の使用が制限されている。北西部や南東部のほとんどで、水を節約するため、農地への給水が禁止された。 フランス気象庁によると、7月の降水量はわずか9.7ミリで、1961年3月以来、最も乾燥した1カ月を記録した。少なくとも今後2週間は、乾燥した状態が続く見通し。 AFP通信によると、フランス電力(EDF)は一部の原子力発電所の出力を落としている。周辺の川の水温が高すぎて、十分な冷却効果が得られないためという。 テレビ局TF1によると、アルプス地方の畜産農家は毎日、トラックで谷へ下りて動物用の水を集めて運ばなくてはならず、毎週の燃料代が数百ユーロ単位でかさむ事態になっている。 フランスで6月から続く熱波のため、樹木の落葉が例年になく進み、すでに各地は秋のような枯れた光景になっている。 フランス本土の大半が水不足の影響を受けているため、農産物の収穫が減るかもしれないと懸念されている。その場合、ウクライナでの戦争による世界的な食糧危機がさらに悪化するおそれがある。戦争の影響でロシアとウクライナからの穀物輸出が急減しているため、欧州ではすでに食品価格の高騰が家計を直撃している。 フランス農業・食料省によると、主に動物の飼料に使われるトウモロコシの生産高は昨年より18.5%少なくなる見通し。主な産地は東部と西部で、すでに収穫が始まっている。 フランスのテレビ局BFMTVによると、フランスだけでなく、ハンガリーやルーマニア、ブルガリアでも今年のトウモロコシ収穫高は熱波の影響で昨年より減る見通しで、それに伴う価格上昇が予想されている。 (英語記事 France drought: Parched towns left short of drinking water)
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