5歳までに「親に話しかけられた回数」で生じる、その後の圧倒的な語彙力の差
相手が子どもでも幼児語を使わないくてもよい?
ある著名な投資家は、子どもにはマネー教育をすべきだと話しています。私にはそれが正しいことかどうかはわかりませんが、少なくともそういう教育をしている家庭の子のほうが、将来は起業する可能性や資産運用で利益を生み出す可能性は高いと思います。 家庭でそういう話をしているうちに、経済や金融の世界に興味を持つようになり、日経新聞で知らない経済用語を調べてみようという話になっていきます。小さな頃は全部わからなくても、その世界に親しんでいるうちに興味を持つようになっていくわけです。 また、相手が誰であれ、基本的にわかりやすく話をすることは大事ですが、相手が子どもだからといって、ことさら幼児語で話す必要はありません。「ワンワン」ではなくて「犬」でいいし、「ブーブー」ではなくて「車」「自動車」でいいのです。 前述のように、子どもというのは、大人が思っているより理解できることもありますし、何となく理解できるという子もいます。 まずはいろいろな話をしてみることです。 そして、大人の世界の会話に早く参加できる子の方が、やはりものを深く考えられるようになり、社会にも早くから興味を持ちます。親以外の大人と話をするのも怖くなくなるでしょう。 このように、いろいろな会話をして言葉を知るうち、どのシチュエーションで、どんなニュアンスで使われる言葉かがどんどんわかってきます。 知性というものは言葉によって育ちますが、子どもでも「裏金」という一つの言葉から、税金や政治や公共事業など社会の成り立ちを少しずつ知っていくのです。 子どもの将来を考えたら、「こまっしゃくれている」上等、なのです。
和田秀樹