球界大御所が、億プレーヤーの増殖に苦言。「球団が弱腰すぎる!」
FA残留を認めない球団が増えるなど、賛否両論の中、球団側も出費を抑えるための防衛手段を講じているが広岡氏には、選手に迎合しているように見えるという。近年は、各球団共に細やかなコンピューター査定が進み、チーム成績にあまり年俸の上下が左右されない傾向がある。 それが証拠に、最下位の楽天の新ストッパーで33セーブの活躍を見せた松井裕樹が4000万円アップの6500万円、同じく最下位の横浜DeNAの新人ストッパーで37セーブを記録して新人王に輝いた山崎康晃が3500万アップの5000万円で契約を交わした。チームによっては優勝、Aクラスの場合、係数を年俸査定に掛け算するところもあるが、広岡氏はチーム順位をもっと査定に反映させるべきという意見だ。 選手側は保証のないインセンティブ契約を嫌うが、広岡氏のインセンティブ優先理論は、どちらと言えば払う側のリスクを回避する経営者サイドに立った意見なのかもしれない。 広岡氏は、年俸の高騰現象に苦言を呈すると同時に、この現象に歯止めをかけるために、選手会だけでなくコミッショナーがイニシアティブを取った上で、セカンドキャリアの手助けをする年金制度の復活を提唱する。3年前に国の制度改革に伴い廃止となった制度だ。
「メジャーの年金制度を見習うべき。死ぬまで年に何千万円ともらえる。しかも、選手が負担するのでなく、全額、MLB側の基金で成り立っている。利益分配の精神にのっとっているが、コミッショナーが中心になって各球団でタッグを組んで年金制度を再構築し、その代わりに年俸のベースを全体的に抑えるという方向に向かっていくべきだ。そうでないと、メジャーとは収益構造が違うのだから、いつか共倒れしてしまう」 メジャーの年金制度は、充実していることで知られている。現役時代の成績に関係なくメジャーの出場期間に応じて支払われ、10年間のプレー実績があれば満額をもらえ、年間、日本円にして約2000万円を終身受給できる。広岡氏は、年金制度の再導入と、選手の年俸をリンクさせ、年俸高騰に歯止めをかけていくべきだという意見。メジャーでは40億円プレーヤーが誕生している。黒田の最高年俸6億円では夢を売るプロフェッショナルとして寂しい気もするが、一部の球団だけでなく、12球団が共に手をとり発展していくためには、何か策を講じる必要はあるのかもしれない。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)