"本田宗一郎イズム"に忠実 初代シティがホンダのチャレンジ精神の塊であると言われている理由
オープンのカブリオレも人気
初代シティではもう一台重要なモデルがある。ホンダ車としてS800以来の14年ぶりとなるオープンモデルとなったカブリオレだ。ターボIIと同じワイドボディで、ソフトトップは手動で、オープン時にピラーが残るタイプ。オープンカーといえば、2シータースポーツカーが相場のなか、4シーターオープンとして根強い人気があった。特別色を含め12色をラインナップしていたのもナイス。 オープン化するにあたりソフトトップを手掛けたのは、イタリアのピニンファリーナで、このモデルを機にホンダとピニンファリーナが関係を深めたという点でも重要なモデルだった。 このシティカブリオレ、仲間内では自動車評論家の小沢コージ氏が中古で購入。さすがセンスがいい。ただ、すでに売却して小沢氏の手元にはないようだ。
ホンダのチャレンジ精神の塊
初代シティはトールボーイとしてその利便性がユーザーにウケたわけだが、そもそも当時の技術力で背の高いコンパクトを市販したことがチャレンジングなのだ。加えて性能と燃費を両立したターボエンジン、NAでも燃費を追求、世界初となる二輪と四輪の同時開発、4シーターオープンのカブリオレの設定、ワンメイクレースの開催など、ホンダがホンダらしさをいかんなく発揮したモデルだったと言えるだろう。 「いいものを作れば売れる」という創業者の本田宗一郎氏の言葉をそのまま具現化したモデルが初代シティだったと言っていいだろう。 【初代ホンダシティターボII主要諸元】 全長3420×全幅1625×全高1470mm ホイールベース:2220mm 車両重量:735kg エンジン:1231cc、直4SOHCターボ 最高出力:110ps/5500rpm 最大トルク:16.3kgm/3000rpm 価格:123万8000円(5MT) 【豆知識】 サステナCコンセプトとポケットコンセプトはホンダがジャパンモビリティショー2023でセットで公開した次世代車を示唆するコンセプトカー。四輪車と二輪車のセットということで初代シティ&モトコンポの再来と騒がれた。ともにモーターを搭載する電動車で、サステナCは環境を考えて使用済みのアクリル素材をボディ外板に使用しているのがポイントだ。市販を前提としたモデルで、早ければ2025年中に市販される可能性も充分にある。電動化を推進するホンダの注目のモデルだ。 市原信幸 1966年、広島県生まれのかに座。この世代の例にもれず小学生の時に池沢早人師(旧ペンネームは池沢さとし)先生の漫画『サーキットの狼』(『週刊少年ジャンプ』に1975~1979年連載)に端を発するスーパーカーブームを経験。ブームが去った後もクルマ濃度は薄まるどころか増すばかり。大学入学時に上京し、新卒で三推社(現講談社ビーシー)に入社。以後、30年近く『ベストカー』の編集に携わる。 写真/HONDA、ベストカー