建築士×宮司『二刀流』で大仕事! 故郷・戸隠の「大鳥居」設計 全国の城や寺社仏閣の修復手掛ける あの建造物も
特集は「二刀流」の男性です。先日、建て替えられた戸隠神社中社の大鳥居。設計したのは、これまでにも大きな「社寺建築」に携わってきた建築士です。実は、神社の宮司という別の顔も持っています。 (今月1日) 戸隠神社中社の「大鳥居」。先日、84年ぶりに建て替えられました。高さは11メートル。4階建てのビルに匹敵し、木造の鳥居では県内有数の大きさです。 観光客: 「色もきれい、とても立派な鳥居」 「ピカピカなのは見たことないので、貴重な日に来られた」 新しい鳥居を設計したのは、建築士の宮川和工さん(40)です。 大鳥居を設計・宮川和工さん: 「これからまた前の鳥居くらい色が変わってくるまで長く建ち続けてくれればな」
宮川さんは戸隠の出身で実家に事務所を構えています。主に手掛けているのは、城や寺社仏閣の修復。昔の匠たちのことを想像しながら設計しています。 大鳥居を設計・宮川和工さん: 「84年前の人たちと直接話すわけではないけど、当時の人たちはこんなこと考えていたのかなというのを想像しながらつくるというのが一番楽しいところ」 これまでに、織田信長も参拝した「熱田神宮(名古屋市)」、曹洞宗の大本山「永平寺(福井県)」、県内では去年、式年遷宮を迎えた国宝「仁科神明宮(大町市)」の拝殿や神門の設計を手掛けました。 10件以上をかけ持つこともあり、この日も神社の屋根の修復現場に足を運びました。 一緒に働く職人: 「他の設計士も何人かいるがその中でも仕事熱心、そういうのが伝わってくるのでこちらもやりがいがある」 社寺建築では、いわば「売れっ子」の宮川さん。実は、もう一つの顔を持っています。
戸隠祖山。狩衣姿でお祓い。もう一つの顔は、神社の宮司です。 戸隠の矢本八幡宮は「鬼女紅葉伝説」の中で平維茂が鬼を探すため矢を放ったとされる場所に建てれらた神社。宮川さんの家は、曾祖父の代から宮司を務めています。 大鳥居を設計・宮川和工さん: 「神社界では二足のわらじはよくある、神主だけでは生活はなかなか大変なので。でもたまたま社寺建築をもう片方の足がはいているという人は、なかなかいないのかなと」 宮川さんは大学で都市政策を学んだあと都内の建築事務所で働き始めました。宮司の家に生まれたことが「社寺建築」の世界を引き寄せます。 大鳥居を設計・宮川和工さん: 「『僕いずれは長野に帰って神主をやらなければいけないので、どこかのタイミングでやめるんですよ』と社寺建築会社の社長と話していたら『辞めるなら、うちによってから帰ればいいじゃん」と言われて、確かに社寺建築っておもしろそうだなとは思ってそれに乗っかったら、めちゃくちゃ面白かった」 大手の事務所に入って社寺建築を学び、力をつけた宮川さん。7年前、宮司を受け継ぐのと同時に自分の事務所を開きました。二足のわらじは、その後の仕事に役立っていると話します。 大鳥居を設計・宮川和工さん: 「日本の伝統文化を神主の側面から見ているのと建築士の側面から見ているので、『精神的なもの』と『物理的なもの』の見方が理解しやすい、腑に落ちやすい。ただこんなに忙しくなるとは思ってないので、畑を耕してたまに図面を描ければいいなというくらいに思っていて…」