4本まとめて新品に交換したのに納得いかん! 数年経ってみたらタイヤ減り方に差があるワケ
<アライメントと空気圧が摩耗に与える影響>
タイヤの不均一な摩耗の原因は、必ずしも前述の理由だけではない。車両のアライメント(車輪の取り付け角度)が適切でない場合、特定のタイヤが異常に摩耗することがある。 とくにキャンバー角(タイヤの垂直方向に対する傾き)やトー角(タイヤの前後方向の角度)が規定値から外れていると、タイヤの特定の部分に負荷が集中し、局所的な摩耗を引き起こす。これは単なる摩耗量の問題だけでなく、走行安定性や燃費にも悪影響を及ぼす可能性がある。 また、タイヤの空気圧管理も重要な要素となる。適正値より低い空気圧で走行を続けると、ショルダー部(タイヤの端部)が過度に摩耗する。反対に、高すぎる空気圧ではタイヤ中央部が過度に摩耗する傾向にある。 このような不均一な摩耗を最小限に抑えるためには、定期的なタイヤローテーションが効果的だ。一般的に5000~1万km走行ごとにローテーションを行うことが推奨されている。また、2カ月に1回程度の空気圧点検と、年1回程度のアライメント点検を行うことで、タイヤの寿命を延ばし、安全な走行を維持することができる。 なお、最新のタイヤでは、特殊なトレッドパターンや新素材の採用により、不均一な摩耗を抑制する設計が採用されている。しかし、完全に防ぐことは難しいため、適切なメンテナンスを行なうことが重要だ。 以上のように、タイヤの摩耗は車両の仕様や使用環境、整備状態など、さまざまな要因が複雑に絡み合って生じる現象であることがわかるだろう。これらの要因を理解して適切な対策を講じ、急発進、急ブレーキ、急ハンドルなどの急な操作を避け、スムースな運転を心がけることで、タイヤの寿命を延ばし、安全で経済的なカーライフを送ることができるのである。
琴條孝詩