同じ道を選んだ息子に “シニアプロ日本一”増田伸洋は何を教えるのか
息子の気持ちは痛いほど分かる。「(康輔は)ジュニアゴルフを経験していないから、どうしても(小手先で)“合わせて”良いスコアを作ろうとする。僕らの時代はまだジュニア上がりのゴルファーってそこまで多くなかった。高校まで違うスポーツをやってから、ゴルフをやる人がまだいた。でも今はもう数少ない。同世代が活躍しているから、本人は焦っている」。ゴルフ歴の差が、スコアの差に直結する現実を見せつけられていても不思議ではない。 「でも『焦るな、焦る必要なんかない、慌てるな』と伝えている」と増田は話した。「だって自分は50(歳)を過ぎて、日本タイトルを初めて獲ったんだから」。実家がゴルフ練習場という環境にして、本格的にクラブを握ったのは高校を卒業してから。流経大柏高時代はラグビー部。この最終日、応援に来てくれた体育科の同級生たちは他に野球部、剣道部のメンバーだった。
息子に大きな背中を見せられたことがうれしい。「本人もまたやる気になってくれるかな」と照れ笑いした。「シニアでも深堀(圭一郎)さん、室田(淳)さん、兼本(貴司)さん…。みんな息が長い。長く稼げるようなゴルフを目指してほしい」。18歳でゴルフをはじめ、プロテストには25歳で受かった。ツアーに定着し始めたのは30歳になった頃、そして51歳で初めて日本一に輝いた。ゴルフには遅咲きの価値があることを証明できた。(茨城県阿見町/桂川洋一)
桂川洋一