元国税局芸人が伝授する「株の“損失”」を減らすテクニック…確定申告を利用した“おトクな方法”とは?
株の損失は「損益通算」で減らすことが可能
株取引で損失が出た場合は、原則として確定申告をする必要はありません。ただし、確定申告をしたほうが得をする場合があります。それが「損益通算」という制度です。 譲渡損失をその年の利子・配当所得と相殺することで税金を少なくするのが損益通算です。 複数の証券会社で株取引をしていて、それぞれの口座で売却益(譲渡利益)と売却損(譲渡損失)が出た場合は、確定申告をすることで売却益と売却損を相殺することができます。 ただし、損益通算できるのは国内の証券会社を通じて売却した上場株式などの損失に限ります。FX(外国為替)やNISA、暗号資産は対象外です。
損失は最大3年間、繰越控除することができる
損益通算しても損失となることもあると思います。そのような場合は、「譲渡所得の繰越控除」の制度を利用することができます。 この制度は、その年に控除しきれない損失について、翌年以降最大3年間にわたって譲渡所得から繰越控除することができるものです。 この制度を利用するときは、損失を出した年の所得税について確定申告が必要になるほか、損失を繰越ししている間は毎年確定申告しなければなりません。その年に株式の売買をしていなくても、申告が必要になりますので注意が必要です。 株式の損失について繰越控除を利用するかどうかは納税者の任意となっており、確定申告による意思表示が必要だからです。 この制度は、上場株式などを売却したときに発生する損失を対象としていますので、非上場株式などで生じた損失は対象外になります。 ■さんきゅう倉田 芸人。ファイナンシャルプランナー。1985年神奈川県生まれ。大学卒業後、国税専門官採用試験を受けて東京国税局に入局。同局退職後、吉本興業の養成所NSCに入学し、芸人となる。Twitterなどで発信した税やお金の情報が話題となり、執筆や講演等の仕事を増やす。以来芸人として活動し、現在は税理士会、法人会などでの講演に加え、『週刊東洋経済』『東洋経済オンライン』『ダイヤモンド・オンライン』『プレジデント・オンライン』『マイナビニュース』『税と経営』などでも税や経済についての記事を執筆、好評を得ている。2023年東京大学文科二類に合格し、東京大学に在学中。
さんきゅう倉田