千葉で鳥インフル 今季、東日本初 116万羽殺処分
農水省と千葉県は24日、同県いすみ市の採卵鶏の農場で鳥インフルエンザの疑似患畜を確認したと発表した。千葉県は全国有数の畜産県。採卵鶏の飼養戸数、羽数とも全国で2番目に多い。高病原性と確認されれば、今季13県・32例目の発生で、東日本では初めて。県は同日、1農場では過去最多となる約116万羽の殺処分を始めた。
鶏卵の大産地
23日に農場から県に通報があり、同日中に簡易検査で陽性を確認。24日にH5亜型と判定した。発生農場から3キロ圏内の移動制限区域には2戸の養鶏場が約127万6000羽を飼育。半径3~10キロ圏内の搬出制限区域には8戸が3万7000羽ほどを飼う。 県によると、殺処分は災害派遣要請で動員された自衛隊員450人を含め、約1000人が24時間態勢で進める。殺処分の終了は1月7日になる見通し。発生農場の周辺には、車両の消毒ポイントを設置した。 農水省は同日、鳥インフルエンザ防疫対策本部を開催。野上浩太郎農相は家きん疾病小委員会と疫学調査チーム検討会での専門家の意見として、「全国どこで発生してもおかしくなく、対策としては防疫の基本である飼養衛生管理の徹底、早期発見・早期通報を、渡り鳥のシーズンが終わるまで継続することが必要」と述べた。 千葉県は農水省畜産統計(2019年2月時点)で、採卵鶏の飼養戸数と羽数が全国2位。127戸が1243万5000羽を飼う。肉用鶏は27戸が195万7000羽を飼育する。また、隣接する茨城県は採卵鶏の飼養羽数が全国一。 鶏卵主産地の千葉県での発生を受け、流通業者は仕入れの調整などの対応に追われている。既に西日本での相次ぐ発生で鶏卵の国内生産量は月間約3000トン超減っており、「千葉での発生はインパクトが大きい」(東日本の流通業者)と危機感を示す。 今季の高病原性鳥インフルエンザは、これまで香川県や宮崎県など西日本の12県で31例の発生を確認。殺処分の対象は千葉県を含めると約464万羽となり、かつてない規模に広がっている。