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山本太郎で東京都はこう変わる!?~東京都長期ビジョンを読み解く!その94

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Japan In-depth

【まとめ】

・山本太郎氏が東京都知事選に立候補。 ・「自己責任」社会への疑問。山本都知事の政策と課題とは。 ・都知事選では「社会観」を問う政策論争を期待。

山本太郎氏が東京都知事選挙に出馬を表明した。本連載でも執筆(「山本太郎都知事はあるか? 東京都長期ビジョンを読み解く!その83」参照)したが、私の期待に応えてくれた形になった。(笑) そもそも、現職の小池氏の「圧勝」とみられる中で、勝ち目が厳しいことも想定済みのはず。その意味で、勇気のある決断であり、そこは評価をしたい。 野党統一候補になる話を蹴って、出馬した理由は定かではないが、選挙戦を頑張ってもらいたいものだ。 ■ ベースにある「自己責任」社会への疑問 山本氏の基軸にあるのは「自己責任」への問題提起だ。 「自己責任社会の中で、自分は誰かを頼っていいなど考えたこともなく、たった1人で苦しみ続けている」 「多くの人が『この仕事を選んだ自分のせい』『非正規の自分のせい』『貯金がない自分のせい』と言うけれど、それは違う、全然違うと声を大にして言いたい」(山本太郎オフィシャルブログより) 弱者に寄り添う、まっとうな理念と言える。なぜ政治家として活動するのか、なぜ政治にかかわらないといけないのか、根本的な理由ともいえよう。心に訴えるメッセージであり、人の尊厳を取り戻すという意味で素晴らしい。 「東京の人口は日本の約1割。東京のGDPは約107兆円、これは日本のGDPの約2割。東京が沈めば、日本が沈む速度は当然加速する。そこにブレーキをかけるチャンスが都知事選にある。だからそれに賭けた、立候補を決めた」(山本太郎オフィシャルブログより) ということで都知事選に出馬を固めたようだ。東京が変われば、日本政治、日本社会に与える影響は大きいので、政治家としてはチャンスといったところだろう。 ■ 公共政策としての評価は??? 公共政策の専門家として見てみよう。 【主な政策案】 (1)東京五輪・パラリンピックの中止 (2)全都民に10万円給付 (3)授業料1年間免除 (4)中小零細企業・個人事業主にマイナス分を補てん (5)病院を金銭的に支援 (6)新型コロナウイルス第2波が来た際には都民1人に10万円 (7)同様に、事業者には100万円 (8)医療従事者、駅員、スーパー店員などエッセンシャルワーカーに危険手当として日給2万5000円 (9)ロストジェネレーションやコロナ失業者を対象に都職員3000人採用 (10)都立病院の独立行政法人化中止 (11)都に災害対応の「防災庁」設置 というところだそうである。かなり斬新的である。都庁職員からしたら「仰天」の政策である。都民の立場で見れば、非常にリベラルな弱者保護の色が強い政策である。ある意味、経済のゆがみ、弱肉強食の経済によって被害を受けている人たち向けの政策といえる。明確かつ、わかりやすい。 しかし、問題は3つある。 第一に、「行政経営」の視点に欠けていること。納税者の視点でみると、行政職員にマネジメントさせればどうなるか想像はつくのだ。過剰なサービス提供、職員の使命感にもとづき仕事が増える、もしくは、モンスタークレームにも最後まで丁寧に対応しとことん残業が増える、温情に基づいた人事マネジメント、無駄なものの購入などが起きるに決まっている。 国鉄などの破綻を見てきたのだろうか?ここ20年の行革により行政職員も改善を進めてきた。「お役所仕事」のサービス改善は進んだ針を基に戻すのだろうか。そもそも、行政職員は非常に能力がある人も多く、問題意識も高い。非常に公共的使命と役割を果たしている人たちである。しかし、彼ら・彼女らのそもそもの最大のミッションは「法律を順守すること」なのである。 第二に、財源の見通しである。これだけの財源をどのようにねん出するのかを明確にしてもらいたい。東京都の場合、都庁や保有する土地を売却すればいいのだから、大丈夫と踏んでいるのかもしれないが、多くの「無駄」と思われる事業を廃止するにせよ、利害関係者はたくさんいる。多くの都議が反対すれば予算は通らない。 第三に、医療についての認識だ。新型コロナウイルスを正しく理解していない。「新型コロナウイルス感染症 COVID-19診療の手引き 第2版」では、致死率は1.6%にすぎない。亡くなられた方はほぼ60代以上がほとんどである。 欧州における60歳以下の死亡者の比率の低さは上記の表で明らかなのだ。日本では「災害」と恐れるほどなのだろうか。また、医療従事者は収入は税金で補填されている部分もあり、多くの人より恵まれている立場であることを忘れてはならない。過剰な神聖視をしすぎである。

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