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7連覇を決めた巨人ナインの座談会、V9選手と首脳陣の距離感/週べ回顧1971年編

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週刊ベースボールONLINE

 一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

川上監督の驚きのあいさつ

 今回は『1971年11月8日号』。定価は100円。  巨人が阪急を破った日本シリーズの後、巨人ナインが座談会。今回はその一部を紹介する。  第1戦、巨人2対1(西宮)。  第1戦の前、話題は阪急の先発が誰か。  普通なら巨人キラー、足立光宏で間違いないのだが、腰痛のウワサが流れ、米田哲也ではとも言われていた。  ただ、巨人側が相手の先発以上に警戒したのが、福本豊の足だった。  長嶋茂雄「(第1戦のハイライトは)やはり森(昌彦)捕手だよ。本人を前にあれだけど、新聞では弱肩の森がと書かれていたのが、あの試合の後、強肩に変わったんだ(笑)。あれが特筆ものですよ」 掘内恒夫「9回に福本を刺した。あれが大きい」 王貞治「あの試合から阪急はもう走らなかったでしょ。森さんの殊勲甲ですよ」  実際、森はシリーズ前からランニングを増やし、肩、腰の状態をかなり神経を使って整えていたという。  もちろん、プラス投手陣だ。 堀内「それにみんなクイック・モーションで投げた」 森「みんな協力してくれた。これぞ真のチームプレーですよ」  かつて野村克也氏は、南海が始めたものにいつの間にか「クイック」という名前がついたと言っていたことがあるが、それはまあいいだろう。  第2戦、巨人6対8(西宮)。この試合で選手たちは1つ反省があるという。  2対1とリードして迎えた6回裏だ。二死から渡辺秀武が崩れ、一、二塁でバッターは加藤秀司。ブルペンでは左腕の新浦寿夫が準備していた。森は言う。 「まずおやじ(川上哲治監督)が出かかってきたんだよ。王が俺のところに寄ってきて、おやじが出てきたら代えるんじゃないですか、と言う。僕は、いやここはナベを押し通さなくては、あとは新浦しかいないと言った。そうしたら王が、だったら早く言ったほうがいいんじゃないですかと言ったんで、僕が監督にナベを続投させたほうがいいんじゃないですか、と言ったわけですよ」  これは内野陣の総意だったようだが、新浦の信頼のなさが可哀そうではある(一軍初登板の年)。  結果的には渡辺は打たれ、試合も負けた。  第3戦は巨人3対1(後楽園)。あの王のサヨナラ3ランの試合だ。これについては以前書いているので、別の人の話を。ベンチにいた堀内だ。  堀内はあの試合、9回裏、王が打席に入る前、中尾コーチから「ピッチングしろ」と言われ、「あきらめましょうよ」と断ったという。 「ここまで舞台が整っているのだから、打つのだったらホームラン、打てなかった三振(ゲームセット)だからピッチングは必要ないって。それでもしろというから、じゃあ、どちらかにかけましょう。僕はホームラン出るほうにかけましょう。それで打ったでしょ。僕はピッチング全然やらなかったですよ(笑)」  すごい人だ。先ほどの渡辺交代か、のシーンもそうだが、V9時代の選手たちは監督やコーチの指示に簡単には従わなかったようだ。  少し気になるのが、山田の王への最後1球。コースに意見がバラけている。 堀内「あのホームランの気持ちは分かりますね。それまでインコースを攻めていて成功しているでしょ。ああいうふうに詰まると、ピッチャーはアウトコースが一番と思って投げるね」 黒江透修「あのときはインコース」 森「シュートのシンカー崩れでしょう」  以前、使った写真では捕手のミットの位置はほぼ真ん中だった。  第4戦、巨人7対4(後楽園)。先発の堀内は「投げていても4戦目の阪急はおかしかった」という。それだけ王のホームランのショックが残っていたのだろう。  王は初回敬遠、3回の2打席目も敬遠。そして3回は王の敬遠で一、三塁が満塁となり、末次民夫が満塁弾を打って勝負を決めた。  森は言う。 「まだ前半だし、うちなら敬遠はしない。くさいところをついて歩かせても同じ結果でしょう。ヒットでも1点だし」  この試合後のミーティング、川上監督はこう言ってミーティングを中座したという。 「皆さんにお任せします。大阪に行きたければ大阪に行っても結構です(6戦目からは西宮だった。兵庫だけど)。私はあした後楽園で決めてもらったほうがありがたいですけど(笑)、皆さんにお任せしますから、よろしくお願いします」  第5戦、巨人6対1(後楽園)で日本一。高橋一三の好投と、先制打を放った黒江の打走の活躍が光った試合だ。  では、またあした。 <次回に続く> 写真=BBM

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