「たし算・引き算ができない」算数だけが極端に苦手なのは、学習障害の可能性が…! その困りごとの本質
「どうして読めないんだろう?」「なんで書けないんだろう?」と、悩んでいる子はたくさんいます。学習障害(LD)とは、発達障害の一つです。読み書 【続き】「うまく聞き取れない」そんな学習障害の原因とは きや算数といった、学習の特定の分野で困りごとが起こります。 LDの特性による困りごとは、アプローチのしかたで減らすことができます。勉強がうまくいかないのは、その方法が合っていないからです。つまり、自分自身に合った方法がわかれば、その子の学習・生活面の困りごとはずいぶんと減ります。イラスト図解で基礎からわかるLD入門書『学習障害(LD)がわかる本 気づいて、支えるために』より、連載形式で基礎知識や、困りごとに合わせた工夫を紹介します。 今回は、「計算・推論」の困りごとと、その背景について解説。
たし算やひき算ができない
学習障害(LD)には算数が苦手なタイプがあります。ほかの教科や読み書きでは特に困っていないのに、算数だけが極端に苦手なのです。 小学校一年生の算数といえば、数のかぞえ方や数字の書き方、一桁のごく簡単なたし算・ひき算から始まりますが、その段階でつまずいてしまいます。一桁のたし算・ひき算でつまずくと、桁が増えたり、筆算をしたりするときにも難しさが生じます。学年が上がり、九九やわり算などがでてくると、困難さに拍車がかかることになります。 算数の困りごとは同じLDでも幅があります。数字の理解でつまずいたり、計算をうまく進められなかったりと、悩みはそれぞれです。最適なアプローチはその子の特性によって変わりますが、数字の理解を助ける工夫など、できることはいろいろあります。 ■算数の授業、テストで困っている 算数が苦手なタイプのLDでは、下記のような困りごとがあります。
文章問題の解き方がわからない
読み書きができないわけではないのに、算数の文章問題になると、どうしたらいいのかわからなくなったり、予測して答えることが特に苦手だったりする子がいます。 例えば、「鳥が5羽いました。2羽飛んでいきました。そのあと3羽やってきました。残ったのは、全部で何羽ですか?」といった問題になると困ってしまいます。 計算そのものが苦手で進まないというのではなく、文章を読みとって数式を立てるということが苦手なのです。 学年が上がって理科の授業があったときに、実験に基づいて考察するのが難しいこともあります。 ■読みとって計算するのが苦手 ふつうの計算問題はスラスラ解けるのに、文章問題になるとどうすればよいのかがわからなくなる子もいます。