京都市バス、運賃支払い時間「80%短縮」を実現! 快適さ向上で「バスって楽しい」と思える時代は到来するのか?
QRコードで温度調整、満足度向上
公共交通でよく見られる問題のひとつが、「暑いか、寒いか」という温度に関する不満だ。 特に夏になると、路線バスでは冷房の効き具合が原因で苦情が増えることが多い。意見や不満を口にする人もいれば、いい出せない人もいる。そのため、バス車内に設置されたQRコードを読み取ることで、 ・暑い ・寒い を選択し、ドライバーや他の乗客と情報を共有できる仕組みがあれば、温度調整の方向性を民主的に決めることができる。 これにより、全体的な満足度が高まる可能性がある。こうした新しい顧客体験を社会に組み込むのが、UXデザインの重要な役割だ。 さらに身近な問題として、車いすやベビーカーの固定方法の標準化が求められている。どの車両でも同じ方法で固定できれば、心理的な負担が軽減され、顧客体験の質が向上する。 肉体的・心理的な負担を同時に解消できる固定方法が確立されれば、ユーザーの幸福度も高まる。これもUXデザインが担うべき役割である。
京都市交通局の革新、ストレス軽減
最近注目されている話題として、京都市交通局が12月1日から、観光客や地元の利用者の多い路線で、全車両を対象に両替方式から 「つり銭方式」 への変更を実施することが挙げられる。この変更により、運賃支払時に両替が不要となり、支払いにかかる時間が大幅に短縮されることになる。整理券車では、整理券の情報を基につり銭が自動的に出る仕組みとなり、均一区間車では、運賃支払時につり銭が自動計算されるようになる。 例えば、均一区間車では、従来の両替式では1000円札を使う際、ひとりあたり20秒から30秒程度かかっていたが、つり銭方式に変更することで、ひとりあたり 「4秒」(80~87%減) で支払いが完了するという。これは、長年両替方式を採用していた京都市交通局にとって、大きな変革だ。 京都市側は、この変更により、利用者の待ち時間が減り、行列も少なくなるため、ドライバーの負担も軽減され、双方のストレスが減ると説明している。ユーザーとサービス提供者の両方にとって、幸福度を高める体験を提供する、いわゆる「 同時解決型」のUXデザインの一例であり、肉体的・精神的な負担を軽減する取り組みは見習うべき点が多い。