霞ケ浦 アオコ大発生も 水質研が調査 ミジンコ増え環境悪化 茨城
茨城県土浦市川口の土浦港や市街地を流れる新川などでアオコが例年よりも多く発生していることが、霞ケ浦水質調査研究会の調べで分かった。霞ケ浦でオナガミジンコなどの動物プランクトンが異常発生していることが一因とみられる。同研究会は「2011年時のアオコ大量発生のような事態になる可能性がある」と危機感を募らせる。 動物プランクトンによって珪(けい)藻類などの植物プランクトンが大量に捕食され減少すると、湖水の透明度が上がって湖底の藍(らん)藻類の光合成を促し、アオコとして水面に浮上する。 7月31日午後。土浦港を訪れると、ヨットの停留場付近の湖水が一面緑色に。遊覧船発着所には腐敗したアオコが泡立ち、悪臭を放っていた。この日の水温は34度。同研究会の沼沢篤代表(72)は「帆引き船の操業開始の頃から港付近でアオコが集積している。悪臭の原因となり観光に影響も及ぼす」と話した。 同研究会は01年から同市沖宿町沖、同県かすみがうら市牛渡沖、湖中央部の三又湖心など6カ所で定点観測を続けている。プランクトンネットで湖水を採取した。 6月の調査ではカブトミジンコ(体長0.9ミリ前後)が約10年ぶりに観測され、三又湖心で150リットル当たり1900個体を観測。湖水の透明度は、三又湖心で1メートル60センチ、牛渡沖で1メートル10センチだった。例年だと60センチほどで、1メートルを超えたのは13年ぶり。 最新の調査では、8月22日にオナガミジンコ(体長0.8ミリ前後)とゾウミジンコ(体長0.5ミリ前後)が、沖宿町沖などで150リットル当たり約2千個体を観測。他の地点でも動物性のミジンコが多く観測されているという。 沼沢代表は「今夏のアオコ発生は6月のカブトミジンコ観測や、一時的な湖水の透明度上昇、高水温などが重なった結果と考えられる」と話す。 土浦市内を流れ霞ケ浦に流入する新川でもアオコが発生している。県環境対策課によると、8月2日ごろにアオコを観測。上流への拡散を防ぐために土浦税務署(同市城北町)近くにオイルフェンスを設置した。同課は「フェンス付近に集まったアオコを船のスクリューでかき混ぜて川底に沈めるなどしている。今後も状況を見ながら対応していく」としている。 アオコを形成する植物プランクトンの藍藻は、動物プランクトンに捕食されず増え続ける一方だ。沼沢代表は「霞ケ浦は水道用水や農業、工業用水の水源であり、秋以降の推移や生態系への影響に注目していきたい」と指摘した。
茨城新聞社