「優勝する時って…」5度V経験の巨人ベテランが円陣で熱いゲキ 広島との首位決戦の試合前に
◆JERA セ・リーグ 広島1―6巨人(10日・マツダスタジアム) 天王山で動いた。打順変更、攻めの継投、若手の起用。広島との首位攻防戦で阿部慎之助監督(45)の采配が的中した。今季1勝4敗2分けと苦戦していたマツダスタジアムでの3連戦初戦に快勝。「今日は今日で良かったので、またあした。あした勝てるように。それだけですね」。試合後の取材対応では表情を緩めず一層、気を引き締めた。 8日のDeNA戦(東京D)は無得点で大敗。流れを変えようと打線を大幅改造した。坂本を3か月ぶり2番。吉川を3番、モンテスを5番に入れた。吉川、浅野以外の2番も、丸と坂本の1、2番コンビも3か月ぶりだった。その坂本が初回1死から決勝ソロ。全員が勇気づけられた。 試合前のベンチ前の円陣では丸が熱い言葉を口にした。「優勝争いできているのは選手として幸せ。それをみんな意気に感じてやっていきましょう。僕も5回優勝しましたけど、優勝する時って、どんな状況でも自分の仕事をチーム全体ができていた。今日も選手一人一人がそのシチュエーションでできる最高の仕事をやっていきましょう!」。1番・丸は初回先頭初球で異例のセーフティーバント。ファウルとなったが、森下を揺さぶり、何がなんでも勝つとの思いを体現した。 広島入りした9日、阿部監督は勝負どころでミスが出る若手について「結局ちびっちゃうんだよな」と、精神面の弱さを指摘。「気持ちだけだと思うよ」と話していた。敵地の独特の雰囲気の中、23歳の門脇、21歳の秋広、19歳の浅野が適時打。経験豊富な丸、坂本らベテランに引っ張られ、重圧を打ち破って躍動した。 投げては投手最年長の先発・菅野が快投。阿部監督は普段から「盗塁死とか走塁死は試合の流れが変わりやすい」と話すが、1―0の5回無死一塁で門脇がけん制死した。嫌な空気になりかけたが、2死から菅野が流れを戻すかのように自ら右前安打で出塁。その裏の相手攻撃を3人で抑えて後輩のミスをカバーした。 3―0の6回2死一、三塁では菅野の代打・秋広がタイムリー。菅野は5回無失点で57球。試合前から想定していた次回の中4日登板も視野に入れた早めの交代だった。「勝ちパターンを信頼して。なかなか(長いイニング)引っ張れないなとは思っていたので今日はそこで(代打)いこうと決断した」。6回は船迫、高梨を小刻みに継投。5点リードで7回はケラー、8回はバルドナード、9回は横川が締めて守護神・大勢の温存にも成功した。 今季最多タイの貯金13で残り18試合。鬼門マツダでベテランと若手が融合して2位・広島と2ゲーム差に広げる貴重な白星をもぎ取った。(片岡 優帆)
報知新聞社