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飛距離の時代を正確性で制す。コリン・モリカワを強くした、コーチ、キャディ、そしてライバルたち

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「全米プロゴルフ選手権」を制したコリン・モリカワ。プロ入り2年目、フル参戦1年目にして海外メジャーに勝利したモリカワが、その決め手となった最終日16番ホールについて語った。 コリン・モリカワのドライバー連続写真(後方)

「330ヤードも飛ばすような人間じゃなくてよかったよ」

カリフォルニア州サンフランシスコ郊外のTPCハーディングパークで開催された今年の全米プロ。コロナウイルス感染の終息の目処が立たず、無観客で行われたが、優勝したのはカリフォルニア出身・プロ入り2年目のコリン・モリカワだった。 23歳6ヶ月3日での全米プロ優勝は、第二次世界大戦後ロリー・マキロイ、ジャック・ニクラスに次いで3人目の最年少記録。全米プロ初出場にして初優勝はジョン・デーリー、キーガン・ブラッドリーらに次いで9人目の記録となる。この優勝でフェデックスカップランキングは一気に2位に浮上、世界ランキングで5位に浮上した。 「子供の頃からの夢だったし、人生の目標だった。メジャーで勝つということはこういうことなのか、と実感している。ファンがいないのは寂しいけど、こういうのにも慣れないといけないし、いつかまたどこかのタイミングで戻ってきて欲しいと思う。僕はゴルフが大好きで、今年は僕にとってフル参戦1年目。こうしてメジャーチャンピオンになれてよかった」 最終日は一時、7人が首位タイに並ぶ大混戦。キャメロン・チャンプ、マシュー・ウルフ、ブライソン・デシャンボー、ダスティン・ジョンソン、トニー・フィナウら315ヤード超のツアー屈指の飛ばし屋の名前ばかりが並ぶリーダーボードだったが、その混戦から抜け出したのはショットの正確さが売りのモリカワだった。フェアウェイをコツコツとキープし、最終日のフェアウェイキープ率は1位。16番パー4ではドライバーで1オンを果たしてイーグル奪取。その時点で2位のポール・ケイシーを2打差に突き放した。 「16番はフロントエッジまで278ヤード、カップまで294ヤードあったが、(ティショット前にキャディのJJが)どうしたい? と聞いてきた。僕はドライバーで打ちたい、と答えた。実際、291ヤード飛んだんだ。330ヤードも飛ばすような人間じゃなくてよかったよ。キャディも僕もあまりボールに向かって叫んだりしないタイプだけど、この時は二人で“真っすぐ転がれ!”って叫んだね。あのホールだけはギャラリーにいて欲しかった。少し歓声が聞こえたけど、このパットを決めなきゃって思ったんだ」 さて、モリカワをフル参戦1年目にして早くもメジャーチャンピオンたらしめたもの。それはもちろん、彼のショット力やメンタルの強さ、自身のポテンシャルの高さなど様々な要素があることはいうまでもないが、去年、プロ入り後に初めて参戦したカナダの試合以来ずっとバッグを担ぎ続けているキャディのJJと、コーチのリック・セッシンホースによるところが大きいという。リックは、モリカワが8歳の頃から15年以上に渡りゴルフを教えてきたコーチ。その存在は、親友でありメンタルコーチでもあるという。またJJは自分の精神状態をよく把握して、言うべきことを言うべきタイミングで言い、集中させてくれるキャディなのだという。 また、アマチュア時代からしのぎを削り合い、ほぼ同じタイミングでプロ入りしたマシュー・ウルフ、ビクトル・ホブラン、キャメロン・チャンプ、ホアキン・ニーマンらの存在は大きいと語る。プロ入りして間もないが、ツアーに昔馴染みの仲間がいることで、居心地もいいのだろう。かといってずっと一緒に行動するわけでもなく、基本的には自分とそのチームで行動している。 アマチュア時代からモリカワのゴルフをよく知っているマシュー・ウルフは、 「彼の安定感がすごく羨ましい。真っすぐ打ててフェアウェイを何度もキープし、グリーンを捉える。信じられないほどアイアンがうまい選手だ。過去2勝して、1回しか予選落ちもしていない。彼はとてもいい友達の一人だし、彼が優勝すれば本当に嬉しい。今後ずっと長い人生を一緒に歩んでいくことになるだろうね」 と語っている。 ジャスティン・トーマスはプロ入り直後のモリカワにこんなことを伝えたことがある。 「もしキミに十分な実力があるなら、どこかのタイミングでツアーに出ることができるようになる」 それを聞いた彼は「十分ツアーに出る準備はできている」と考え、その後プロの世界へと飛び込んでいった。「期待」ではなく「目標」をセットし、その目標の達成に向け、自分を信じて精進するのがモリカワ流。今回の優勝で大きな自信を得た彼が、今後の長いゴルフ人生でどんな偉業を達成していくか、楽しみである。

大泉英子

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