【闘病】余命宣告も「まだ死ねない」 スキルス性胃がんと闘う母親がそう語るワケ
闘病者の佐藤さんは、胃がんリスク検査の結果は問題なかったものの、胃カメラによってスキルス性胃がんが発覚しました。胃がんリスク検査ではわからないタイプだったため、異常なしという結果が出たのだそうです。 そんな佐藤さんに、スキルス性胃がんが発覚するまでの経緯や治療内容、そしてご家族や友人への想いなど話してもらいました。 ※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2023年3月取材。/p> [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
胃カメラを先送りにしたのちの胃がん診断
編集部: 病気が判明した経緯について教えてください。 佐藤さん: 違和感を自覚しながらも、近所の病院での診察や健康診断の結果は悪くなかったので胃カメラを先延ばしにしていたところ、初めて味わう激痛が起きました。2020年3月、さすがにいつもと違うと思って受けた胃カメラで胃潰瘍からがん細胞が見つかりました。 編集部: どのような自覚症状があったのでしょうか? 佐藤さん: 1年間くらい、みぞおちの左側に時折拳をぐりぐりと押しつけられているような痛みがありました。2019年6月に、近所の内科でCTを撮ったところ、「お酒の飲みすぎが原因なのではないか」と言われました。 お酒を控えたら少し改善されましたが、やはり痛みは続き、同年10月に別の消化器内科を受診しました。その日は院長先生が不在だったので代理の医師の診察を受けたところ、胃カメラを勧められましたが、翌月に健康診断を控えていたので予約はせずに帰宅しました。 編集部: その後、健康診断を受けられていかがでしたか? 佐藤さん: 11月健康診断にて胃がんリスク検査を受けましたが、こちらでも異常なしの結果が出ました(後に私は胃がんリスク検査に反応しないタイプであるらしいことが判明)。しかし、痛みは引かず、仕事の忙しさから胃カメラを先送りにしていました。 すると、食後食べたものが込み上げてくるようになり、左腹部に身動きが取れないほどの激痛、嘔吐もあり、胃カメラの予約をしたという流れです。 編集部: スキルス性胃がんはどのように告知されたのでしょうか? 佐藤さん: 胃カメラの結果、大きい胃潰瘍があったため生体組織採取検査に出し、結果を一週間後に聞く予定が、数日後に電話ですぐに病院へ来るように言われました。悪性の腫瘍が見つかり、大きな病院を紹介してもらうことになりました。 「今なら切ってしまえば生きられるからね」と送り出されました。紹介先の病院での検査で、3型胃がんと診断されたものの、その後の胃カメラで胃潰瘍の奥にさらにスキルス性の4型胃がんがあったことが発覚し、家族を呼んでの説明がありました。 編集部: 医師から治療はどのように進めていくと説明されましたか? 佐藤さん: まずは腹腔鏡で腹膜を確認し、腹膜播種(がんの腹膜への転移)がないかを確認するとのことでした。その後については、3つのパターンの説明がありました。まず「播種なし(1)」だった場合、予想ステージ3A。 開腹して胃と腫れたリンパ切除で手術の所要時間3~4時間とのことでした。5年生存率50%。「播種なし・すい臓浸潤あり(2)」の場合、予想ステージ3Bで開腹して胃とリンパとすい臓、脾臓を摘出。所要時間5~6時間ほど。 5年生存率30%。「播種あり・手術不可(3)」なら予想ステージ4。5年生存率10%以下とのことでした。また、(1・2)の場合は、術後補助化学療法8クールとの説明がありました。 編集部: 結果的にどちらのパターンだったのでしょうか? 佐藤さん: 「播種なし・すい臓浸潤あり(2)」のパターンでした。ただし、すい臓への浸潤はわずかだったようで、「すい臓は摘出せず、皮だけ剥がした」そうです。 編集部: セカンドオピニオンは受けられたのでしょうか? 佐藤さん: 受けませんでした。友人からもセカンドオピニオンを紹介してくれるとの話はありましたが、コロナ禍に突入したばかりの状況で東京に行くことや予約がずいぶん先になること、手術の日程も通常より遅くなることがリスクとなりそうでしたし、それまでに主治医と話して納得がいっていたので、地元の病院と主治医に委ねました。