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あの大ヒット商品にパクリ騒動が…? 「空調服」裁判の意外な結末

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現代ビジネス

---------- 工事現場などでよく見かけるようになった、“ファン付きウェア”「空調服」。昨年130万着を生産したこのヒット商品に、じつは「訴訟問題」が起きていたことを明らかにしたのが、『訴訟合戦』の著書もある経営コンサルタントの竹内謙礼氏。株式会社空調服側の勝訴で幕を閉じたかのように見えた裁判には“その後”が存在した。中小企業も無視できない知財裁判の行く末とはーー? ---------- 【写真】どちらが元祖?「空調服」にパクリ問題が…

忘れかけていた「空調服」裁判のその後

 初夏の暑さの中、マスクをしてふと思った。  「マスクにファンをつけたら涼しいのではないか」  しかし、それがすぐにバカバカしいアイデアだということに気づく。ファンをつけたらウイルスを吸い込んでしまい、マスクの意味がない。  ともあれ、その考えを思いついたとき、工事現場で見かけるファンのついた作業着のことを思い出した。服の中に風を送り込むことが、いかに画期的なアイデアであったことを改めて気づかされた。  空調服の裁判は、その後、どうなったのだろうか。  昨年10月、空調服に関する不正競争防止法の記事をマネー現代で書かせてもらった(参考:あの「空調服」にパクリ騒動? 知られざる熱い「訴訟問題」の顛末)。  各方面から様々な反響をいただき、私自身、中小企業にとって、特許や開発記録がいかに大切であるかということを、改めて知る良い機会となった。  コロナ禍で忘れかけていたが、気になって空調服の“その後”の裁判記録を追いかけてみることにした。すると、そこには中小企業の知財裁判の難しさを浮き彫りにする、危うい結末が待ち受けていた。

訴えられたのは“元祖”

 空調服裁判について、ここでおさらいをしておこう。  ことの発端は、広島県福山市の作業服メーカー「株式会社サンエス」が、東京都板橋区の「株式会社空調服」に対して「うちのファン付の作業着を真似るな!」と訴えたのが始まりだった。  当時、年商288億円の大企業のサンエスが、年商23億で従業員数14人の零細企業の株式会社空調服を訴える構図は、「金に困った小さな会社が、大手企業の商品をパクったんだな」ぐらいにしか思えなかった。  しかし、実際は真逆の状況だった。ファン付の作業着を開発したのは株式会社空調服であり、その商品を10年以上受託製造していたのが、実はサンエスだったのである。  そして、サンエスは空調服の売れ行きが好調と見るや、空調服と同じファン付作業着「空調風神服」を自社製品として販売して、さらに「うちの商品を真似るな!」と元祖の開発元である株式会社空調服を訴えてきたのである。  当然、株式会社空調服側はこの訴えに反論。特許や契約書、開発記録や販売記録などの様々な証拠を裁判で提出して、最終的にはサンエス側の訴えが棄却され、株式会社空調服側の勝訴という形で一審は幕を閉じたのである。  これが前回寄稿した空調服裁判の経緯だ。そして、新たな裁判記録を見たことで、この話に続きがあることを知ることになる。

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