「寝酒」は意図せぬ目覚めと覚醒の原因に―良質な眠りのために必要な条件とは
◇大谷選手が見せてくれる睡眠の重要性
2024年4月から医師にも「働き方改革」(労働時間の上限規制)が導入されました。運送業や建設業などでも同じように長時間労働が規制されるようになりました。長時間連続して働くことでパフォーマンスが落ち、事故につながることが明らかになっています。医師ならば医療安全の面で問題が生じる恐れがあります。ですから、1日の勤務時間は15時間以内、勤務と勤務の間に9時間のインターバルを置くことが義務付けられました。 私は「働き方改革は睡眠改革」だと言っています。特に交代勤務の人は睡眠が十分にとれないことが多く、働き方改革でどう対応するかは難しい問題だと思っています。 交代勤務の人はうつやアルコール依存症の割合が多いのです。夜勤明けで朝帰りし、眠れないのでお酒の力を借りて寝ようとするのですが、先ほど述べたアルデヒドによる覚醒作用や、明るさ・音など環境的な要因で十分な睡眠がとれず、だんだん酒量が増えてしまいます。朝から眠るのは難しいので、本来であればお酒に頼るのではなく睡眠薬できちんとコントロールすべきなのですが、睡眠薬は飲みたくないという人が多いのです。 現代社会では、働き盛りの男性も女性も十分な睡眠をとれる状況にはありません。しかし、メジャーリーグで大活躍している大谷翔平選手は、毎晩10時間の睡眠に加えて昼寝の時間も取っているそうです。パフォーマンスを高めるには睡眠はとても重要だということを、実践して見せてくれています。
メディカルノート