「アートとビジネス」を多角的に問う FUTURE VISION SUMMIT 2024レポート
ユートピアを想像するポジティブなマインドも
資本主義経済の行き詰まりも指摘され、未来を見渡すことが難しい現代において、スペキュラティブデザインのアーティストである長谷川愛の言葉はひときわポジティブに響いた。 オルダス・ハクスリーの『すばらしい新世界』や、ジョージ・オーウェルの『一九八四年』のような、世界の終わりを描くディストピアSFは耳目を集めやすい。しかし長谷川は「ならば、自分はユートピア小説に注目したい」と考えたという。そして壇上から紹介したのが、アーツ&クラフト運動の創始者であるウィリアム・モリスが1980年に記した『ユートピアだより』だ。 モリスの小説自体は共産主義社会を理想化したもので、現実の現代社会にそのまま適用できるものではない。しかし、ディストピアではなくユートピアを志向し、ポジティブなヒントを探し続ける姿勢が重要であるのは言うまでもない。 未来を構想し、共有し、どのようにして形にするのかを、さまざまな角度から問い続けたFUTURE VISION SUMMIT 2024。参加者からは「アート✕ビジネスを現実社会に落とし込む難しさと、だからこそ噛み合ってイノベーションが起きたときの面白さが感じられた」「未来が楽しみになるセッションだった」など、前向きな感想が多く寄せられた。
Forbes JAPAN 編集部