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肩を落とす歌舞伎町、遠いにぎわい 時短解除の夜を歩く

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朝日新聞デジタル

 新型コロナウイルス対策で、東京都が23区内のみに求めていた営業短縮要請が解除された。「営業は午後10時まで」の対象となっていた酒類を提供する飲食店とカラオケ店では、16日夜から通常営業に戻す店が相次いだ。ただ、この間に経営難に陥った店も多い。日常を取り戻すには時間がかかりそうだ。 【写真】短縮営業要請前は、繁華街にもにぎわいが戻ってきていた=7月11日、東京都港区  23区の端に位置するJR西荻窪駅(杉並区)近くの飲み屋街。人通りはまばらだったが、午後10時をすぎても、多くの店がドアを開け放して営業し、軒先で酒盛りを楽しむ客の姿があった。駅近くに住む会社員井之口航大さん(36)は、「仕事が終わって駅に着くのがたいていこの時間。やっと地元で気持ちよく飲める」と足早に居酒屋に入っていった。  「一度離れたお客さんはちゃんと戻ってくるだろうか」。バーのオーナー男性(39)は気をもむ。営業時間を午前5時までに戻し、1カ月半ぶりの通常営業となった。本来の客入りのピークは午前0時前後。常連客は午後10時前にはほとんど来ない。売り上げは例年の3分の1まで落ち込み、店を続けられるかの瀬戸際が続いた。  店から1分も歩けば、区市境をまたいで武蔵野市吉祥寺になる。「吉祥寺は深夜営業がよくて、杉並はだめというのは腑(ふ)に落ちなかった。対象を23区でくくってしまうのはあまりにおおざっぱだった」と首をかしげる。「時短営業が新型コロナウイルスの対策になるという実感が持てなかった。また感染者数が増えても、時短以外の手を考えてほしい」と話した。  時短要請中も深夜までの営業を続けた店舗もあった。ビルの地下にある「スナックかをり」は時短要請の期間中、午前0時すぎまで営業していた。「2次会で使われるスナックで『午後10時まで』はさすがに応じられない」と女性店主(51)。その分、対策に力を入れた。開店前には1時間かけて店中をアルコールで消毒。カラオケは客が1曲を歌うたびに、扉をあけて換気し、使ったマイクを消毒した。  西荻窪駅南口の居酒屋前で呼び込みをしていた男性店員(28)は「深夜でもやっている店はあった。かえって人がそんな店に集中していた気がする」とこの期間を振り返った。  接待を伴う飲食店で一時期、感染が広がった新宿・歌舞伎町。ネオンの下で呼び込みをしていた居酒屋オーナーの牧豪一(ひでかず)さん(45)は「全然ダメですわ」とため息をついた。  歌舞伎町で4店舗を営んでいたが、緊急事態宣言が出た4、5月に3店舗を閉鎖。残る1店舗は要請に従って午後10時までの時短営業を続けてきた。16日からは営業時間を午前0時に延ばしたが、100席近くあるにもかかわらず、午後9時で客はわずか6人。午後10時以降にはゼロになった。早めに店を閉めた。接待を伴う飲食店での感染者数は落ち着きつつあるものの、「夜の街の象徴にされてしまった。風評被害ですよ」と肩を落とす。

朝日新聞社

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