なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 後編
では、タトラはどうなったのか?
タトラという会社自体は1850年に設立され、はじめは馬車を生産していた。1999年に乗用車の生産を終了したが、小規模ながらトラックメーカーとして存続しており、プジョーに次いで欧州で2番目に古い自動車メーカーとなっている。
タルボ:サンバ・カブリオレ(1982年)
タルボ・サンバ・カブリオレは、欧州最廉価クラスのサンバをベースとするオープントップモデルであり、主に若いドライバーをターゲットとした。また、プラットフォームを共有するプジョー104やシトロエンLNAから距離を置くことで、タルボブランドに独自のイメージを与えようとした。 ■では、タルボはどうなったのか? 1979年にPSAがクライスラー・ヨーロッパを買収した際、クライスラーとシムカのモデルにタルボのバッジを使用した。タルボの名は1987年まで乗用車に、1994年まで商用車に使用された。
トライアンフ:スタッグ(1970年)
トライアンフの代表作として、1950年代と1960年代に活躍した美しいTRを選ぶ人もいるだろうが、AUTOCARはメルセデス・ベンツSLに対する英国のV8スポーツカーの回答として、スタッグがもっと評価されるべきだと考えている。信頼性の問題には悩まされたものの、ムードたっぷりのハンサムなクルマで、壊れていないときのドライブは最高だった。
では、トライアンフはどうなったのか?
トライアンフはブリティッシュ・レイランド傘下で経営が悪化し、変わり種のTR7が最後の自社開発車となった。その後、1981年にホンダ・バラードをベースにしたトライアンフ・アクレイム(写真)が発売され、1984年にトライアンフの名前は消滅した。 興味深いことに、トライアンフ・カーズの名前は現在BMWに属している。これはローバー社所有の名残で、BMWがローバーを売却した際にも取り置かれたのだ。トライアンフとBMWは1970年代、欧州の小型スポーツセダン市場で真っ向勝負を繰り広げていた。
ベスパ:400(1957年)
スクーターで世界的に知られるイタリアンブランドであるベスパは、欧州市場最小クラスの乗用車である400を発表し、四輪業界に足を踏み入れた。ライバルは、ほぼ同時期に登場したゴッゴモビルやフィアット500だった。ベスパ400(排気量393ccのエンジンにちなんで命名)はフランスで生産されたが、ベスパはそれ以降、四輪車を生産することはなかった。 ■では、ベスパはどうなったのか? 一言で言えば、何も起こっていない。ベスパは引き続きスクーターを生産している。親会社であるピアッジオは、アプリリアやモト・グッツィを含むさまざまな二輪車ブランドを展開しており、2023年には43万6000台の二輪車を販売した。
AUTOCAR UK(執筆) 林汰久也(翻訳)