コロナ後の就活「買い手市場」の落とし穴…リーマンショックとは状況が違う
就職活動学生のマインドは不安なまま
ところが、就職活動をしている学生のマインドは、マスコミ報道などの情報によって、大変な不安心理に覆われています。 2022卒の学生へのグループインタビューなどをしていても、明らかにコロナ前の「売り手市場」感を持った学生とは就職活動にかけるパワーが違っていそうです。 例えばコロナ前には、1年間に学生が受験する会社の数は平均して10社程度、会社説明会参加社数でも10数社というレベルでした。しかし2022卒の学生は既に現時点で、会社説明会の動画を数十本見ている人も珍しくはありません。 リーマンショック後の学生が、20~30社程度の受験をしていたことを考えると、今回も同程度の就職活動量になる可能性は大きいのではないかと私は危惧しています。 オンライン化で説明会や選考に参加しやすくなったことも考えれば、就職活動量はもっと増大するかもしれません。
学生を集めることは簡単になるが……
企業の求人数はそれほど減らず、学生の就職活動量が激増した場合、どんなことが起こるでしょうか。 まずは、当然ですが1社あたりの応募者数、会社説明会参加者数、選考参加者数などは激増することでしょう。既にこういった数字が「昨対比2倍」というような話もよく聞きます。 数年続いた「売り手市場」で苦労した採用担当者達にとっては様変わりした風景に感じるはずです。しかし、学生1名あたりの受験社数が増えても、「学生の人数」自体は増えません。 学生はたくさん受験をしても行ける会社は1社です。ですから、結局、多くの会社から内定をもらえば、多くの会社を辞退することになります。
「ぬかよろこび」市場になる可能性
つまり、企業側からみれば、「ものすごく応募者は増えたのに、どんどん辞退をされて、結局、採用目標を達成できなかった」というような「ぬかよろこび」が発生するかもしれません。応募者が2倍に増えたから採用者数が2倍にできるわけではないということです。 むしろ、大勢の応募者がいれば、必然的に説明会や選考などにかけるマンパワーやコストは増大します。そして、手間をかけているうちに、本当に自社にマッチしている「採るべき人材」を逃してしまう、他社に採られてしまうかもしれないのです。