777X、受注残191機に引き下げ 納入遅れでキャンセル権も
ボーイングは開発中の次世代大型機777Xについて、2020年末時点での受注残を191機に引き下げた。現地時間2月1日付でSEC(米国証券取引委員会)へ提出した報告書で公表した。777Xは納入開始を2023年後半に後ろ倒しし、従来の計画をさらに1年延期。これにより航空会社などの顧客は、キャンセルなどの権利を保有する。 777Xは、2020年末時点での「販売見込数」(Program accounting quantities)が350機で、このうち米国の会計調整である収益認識基準(ASC 606)を反映させた「確定受注残」は191機。受注リストで公表している総受注も350機で、この実績には顧客の財務状況などを織り込んだASC 606を反映しておらず、191機が受注数となる。2019年末時点での受注残309機と比較すると118機、2020年末の総受注と比較すると159機、それぞれ“消滅”したことになる。 これらの差異について、ボーイングは「会計上によるもの」と説明。一方で、顧客は納入遅れによるキャンセルや機種変更の権利を保有しているという。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響に伴う需要減少などにより、一部の顧客はキャンセルや機種変更を検討しているとみられる。 ボーイングは1月27日に開いた2020年10-12月(第4四半期)決算で、777Xの納入開始を2023年後半に後ろ倒しすると発表。当初2021年の引き渡し開始を予定していたが、ボーイングのデビッド・カルフーン社長兼CEO(最高経営責任者)は、2020年7-9月(第3四半期)決算で2022年に1年遅らせる意向を示していた。 これにより顧客への引き渡しは、当初の計画より2年程度遅れることになる。
Yusuke KOHASE