PGMや太平洋クラブなどゴルフ場運営会社の親会社にパチンコ業界が多いワケ
レジャー産業という共通点があり、総合レジャー企業と名乗れるメリットがある
ゴルフを始めると、日本にはかなりたくさんのゴルフ場があり、いろんな企業がゴルフ場を保有していることがだんだん分かってきます。 【画像】コース設計がスゴい! 一度は行きたい日本のゴルフ場を見る(21枚) 日本には現在、約2200のゴルフ場があります。最も多くのゴルフ場を保有しているのはPGM(パシフィックゴルフマネージメント)グループです。2021年10月1日現在で全国に145コースを保有し、1コースをリース運営しています。 次に多くのゴルフ場を保有しているのはアコーディア・ゴルフです。2021年8月現在で132コースを保有しています。グループ会社のネクスト・ゴルフ・マネジメントを加えると169コースを運営しており、運営施設数では国内1位になります。 この他に多くのゴルフ場を保有しているのは、西武グループのプリンスホテル(国内28コース)、東急グループ(28コース)、太平洋クラブ(18コース)、ユニマットプレシャス(18コース)、シャトレーゼグループ(国内18コース)などがあります。 PGMグループはパチンコ・パチスロ機器メーカー大手の株式会社平和の100パーセント子会社です。太平洋クラブはパチンコホール大手の株式会社マルハンのグループ会社です。どうしてパチンコ業界の会社がゴルフ場を保有しているのでしょうか。 これにはそれぞれの理由があります。まずPGMグループですが、この会社は米国の投資ファンドが2002年に設立し、経営破綻した日本のゴルフ場運営会社を次々と買収。巨大なゴルフ場運営会社を作り、2005年に東証一部上場したという生い立ちがあります。 投資ファンドですから投資資金を回収した後は出口戦略で事業の売却を模索していました。 一方、平和は主力事業のパチンコ・パチスロ機器が縮小傾向となっており、柱となる別の事業を取得して総合レジャー企業と名乗れるようになりたいという思いがありました。 両者の利害関係が一致し、2011年に投資ファンドが株式売却を提案。友好的TOB(株式公開買付)で平和が連結子会社化しました。 次に太平洋クラブですが、この会社は1971年に平和相互銀行の創業者である小宮山栄蔵が設立しましたが、平和相互銀行は1986年に発覚した不正経理事件を機に住友銀行(現三井住友銀行)に吸収合併されて消滅。太平洋クラブも住友銀行管理下のゴルフ場として運営されていました。 しかしながら、ゴルフ業界の景気低迷などの理由により経営が苦しくなり、2007年に東急不動産と資本業務提携を締結するなど生き残り策を模索しましたが、2012年に民事再生法の適用を申請しました。 ところが、この再建計画案に対して会員から反対の声が上がり、会員を中心にした債権者が会社更生法を申請するという事態になりました。そして2013年にマルハンが再建スポンサーとなりました。 ゴルフ場を保有するまでのプロセスはそれぞれ異なりますが、ピーク時には30兆円産業と言われていたパチンコ業界に対し、ギャンブル依存症や多重債務者増加の原因になっているのではないかという逆風が吹き始め、別の事業展開を模索する中でゴルフ場運営が選択肢の一つになったわけです。