松本駅前のスピカビル 閉館・解体へ 所有会社が再開発検討 長野県松本市
松本駅前で47年にわたって親しまれたスピカビル(長野県松本市深志1)が老朽化に伴い年内をめどに閉館し、解体されることになった。昭和52(1977)年の完成以来、ホテル業を中核に飲食店や洋品店、娯楽施設など幅広いテナントが入り、市民にも観光客にも親しまれた。解体後は物件を所有する総合不動産業ケン・コーポレーション(東京都)が、立地を生かした新たな宿泊施設も視野に再開発を検討する。 鉄筋鉄骨コンクリート造の地上10階、地下1階建て。低層階の外観に曲線を取り入れたデザインや、開館当時のオーナーの星座(乙女座)にちなんだというスピカの名称が都会的な雰囲気を醸し、市民に浸透した。 松本の玄関口という好立地を生かしたホテル事業は時代とともに変遷。東急インを皮切りに、スピカイン、ホテル1・2・3松本、トーコーシティホテルなどと看板を替え、現在は同社のグループ企業がプレミアホテル―CABIN(キャビン)―松本(全106室)を経営する。居酒屋やカラオケ店、喫茶のドトールコーヒーなど過去のテナントも多岐にわたり、宿泊以外の利用も絶えなかった。 一方、近年は施設全体の老朽化が課題になっていたという。今月30日の宿泊客を最後にプレミアホテルを閉め、他のテナントも近く撤退する。5日に取材に応じた同ホテルの宮下達也総支配人は「遅くとも来春には解体に着手するのではないか」との見通しを示した。 同ホテルは最上階に設けたフロントや朝食会場から望む松本盆地や北アルプスの眺めを売りにした。宮下総支配人は「何物にも代えがたい景観は多くの利用者に喜ばれた。未来につながる前向きな閉館と捉え、一層親しまれる施設となって戻ってきたい」と話している。
市民タイムス