【車載テクノロジーの2020ベスト】ホンダe ソフトとハードの見事な融合 英国編集部選出
新技術を中心にデザインされたクルマ
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治) 最近の自動車メーカーは、タッチモニターを用いれば、先進的な技術を搭載したと考えていたのかもしれない。サイズが大きく、つややかな液晶モニターは、アップル製品のようだった。 【写真】新型純EV ホンダe 車内デザインも注目 (67枚) このタッチモニターは、ドライビング体験を高める技術にもなり得るし、運転の気が散るものにもなり得る。スマートフォンのように、質も内容も様々だ。 適切にレイアウトされた実際のコントローラーやボタンより、タッチモニターへ集約した方が優れていると確信できたシステムには、まだ出会えていない。しかしホンダeは、その考えを覆す。 ホンダeのインテリアは、新しい技術を中心にデザインされている。それが、ボディのデザインへと展開している。 まず触れるべきは、ミラーの役割を担うカメラとモニター。世界初ではないが、手の届きやすいコンパクトモデルとしては初めてだ。 光学的な鏡に慣れたわれわれは、しばらく違和感がある。しかしすぐに、広い視界をありがたく感じるだろう。 車線変更時、斜め後方の車両までの距離を示す表示も有用だし、暗い場所でも明るく見やすい。直射日光がカメラに当たっても、視界が悪くなることもない。ミラーより小型なカメラは、空力性能でも有利だ。 デジタルの鏡となるモニターは、Aピラーの付け根に配置。ダッシュボードいっぱいに広がるモニターの、両サイドを埋めている。ソフトウェアだけでなく、実際の運転を理解している人によって開発されている。
クルマの新しいブレークスルー
インフォテインメント・システムを受け持つのは、2面の12.3インチ・タッチモニター。運転席側と助手席側で、表示を入れ替えることができる。助手席側の人は、不要に手を伸ばすことなく、ナビやラジオの設定を変えられる。 地図を見たくなければ、美しい日本庭園の映像を鑑賞することもできる。お好みなら。 自動車としては珍しいほど、ハードウエアとソフトウェアが見事に融合している。テスラ・モデルSは新しいクルマのインテリアを示したが、それに次ぐ、クルマ好きも喜べるブレークスルーかもしれない。 シリコンバレー的な革新的デジタル技術は、自動車業界にとっては馴染みの薄いものだった。でも、素晴らしい製品を生み出せる可能性を秘めている。それを、ホンダeは表現している。 クルマの開発当初から、デジタル技術のエンジニアを関わらせ、先進的な技術をもとにクルマをデザインする。流れを変える、ニューモデルだといえるだろう。 ■審査員コメント Matt Saunders(マット・ソーンダース) 初めてホンダeを運転したとき、218kmの航続距離や価格、車内の広さに対して、納得できなかったことを覚えている。とても好感が持てるものの、オススメしやすいクルマには感じなかった。 しかし今は違う。同僚は、ホンダeの購入を真剣に考えているという。すぐに注文しては、と筆者は応えた。きっと気にいるでしょう、と。 クルマの評論家に欲しいと思わせるのだ。きっと、新しい正解なのだろう。
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