いつの間にか減った750cc…なぜ減ったのか?
消えつつある「ナナハン」、現在では3車種に
「ナナハン」の名で親しまれてきた750ccクラスの排気量を持つ大型バイクには、「名車」と言われるモデルが数多く生まれ、ライダーたちのあこがれの存在となってきました。 【画像】いまや貴重! 消えつつある「ナナハン」モデルを見る(8枚)
例えば、1969年に登場した「ドリーム CB750FOUR」は、750ccバイクの代表的存在として、現在でも多くのファンを持つ名車として知られています。また、1980年代のいわゆる第一次バイクブームでは、ホンダに加えて、ヤマハ、カワサキ、スズキからも多くの750ccクラスのモデルが発売され、ブームのけん引役となりました。 そんな「ナナハン」ですが、2021年現在新車で購入可能なモデルはほとんどありません。ホンダを例にとると、750ccクラスと呼べるのは「X-ADV」と「NC750X」となっています。その他の国産2輪メーカーを見ても、スズキ「GSX-S750」程度しかありません。
しかし、大型バイクそのものが減少しているわけではありません。750ccクラスのラインナップがほとんどなくなったホンダですが、1000ccオーバーのリッタークラスはもちろん、800ccクラスや600ccクラスのモデルは現在でも充実しています。また、2021年の登場以来ヒットを飛ばし続けている「レブル」も、1100ccと500ccの2つの大型モデルをラインナップしています。 つまり、750ccという排気量のバイクが減少し、その前後の排気量のものへと置き換わっていると言えます。近年のそうしたトレンドの背景には、いったいどのような事情があるのでしょうか?
「ナナハン」の誕生、そして衰退の歴史
歴史をたどれば、国産2輪メーカーではじめて750ccクラスのバイクを世に送り出したのはホンダです。そのモデルは、上述したドリームCB750 FOURであり、その後、日本国内におけるナナハンブームの基礎を築くことになるのですが、もともとは北米市場を意識して開発されたものでした。
当時、すでに多くのバイクを北米市場へと輸出していたホンダですが、そのほとんどが「スーパーカブ」であり、大排気量のバイクはトライアンフなどの英国車が中心でした。 日本では「オートバイの王様」というキャッチコピーであこがれの存在となっていた「CB450」も、一定の販売台数は記録したものの、余裕のある走りを求める傾向にある北米市場では、決定的な評判を得ることはできなかったと言われています。 そこで、より大型のエンジンを搭載したドリームCB750 FOURが登場することになります。元々定評のあったホンダのCBシリーズに、余裕のあるエンジンが搭載されたことに加え、当時の円安を追い風に爆発的な売れ行きを見せ、一気に北米の大型バイク市場をけん引していきました。