俳優・小林涼子、経営者との両立を支える「美味しいをいつまでも」の思い #豊かな未来を創る人
「半径5mの幸せ」を追求したい
── 今の事業を続ける中で、どんなときにやりがいを感じますか? 休日にスタッフが家族を連れて子どもと一緒に水やりをしてくれたり、夏休みの自由研究をしたりするのですが、お母さんが働いている姿を見た子どもたちが「ここで働きたい」「アグリコの社長になる」って言ってくれるんですね。私は、美味しいものを将来も食べられるような未来を作るため、後の世代にバトンを渡すために会社を作っているので、そうした言葉をもらえるのがすごく嬉しいです。 また、就職された障がい者の方々が、1年、2年と働かれて親御さんが喜ばれている姿を見たときにはすごくぐっとくるものがありました。 そういう「半径5mの幸せ」が私のやりがいですね。これが持続可能な未来を作るんだと思います。自分が幸せでなければ社会や地球の未来なんて考えられなくなってしまいます。今自分が幸せであること、自分の周り5mが幸せであること。それがゆくゆくは地球の未来の幸せにつながると思います。 ── 大きなやりがいを感じて事業をされているのですね。とはいえ、俳優の仕事とこの会社の仕事と、ものすごく忙しい中続けるのは簡単ではないと思います。どのような思いに突き動かされてこの事業を続けていらっしゃいますか。 「美味しい」という気持ちかもしれないですね。私にとって美味しいものを食べることがすごく幸せで、今日だって、夜に何を食べようかともう考えていましたし(笑)。 この「美味しい」って簡単なようで難しいことだと思うんです。だって「美味しい」というのは、美味しい食べ物があって、心と身体の健康が揃ってようやく思えることなんですよね。それって実は簡単なことではないからこそ、「美味しい」と今感じられているのはすごく嬉しい稀有なことだと思っていて、その気持ちが原動力になっています。
── 今後の展開において、これから注力していきたいことを教えてください。 農産物の6次産業化と雇用の推進には特に注力していきたいです。6次産業化は、1次、2次、3次産業それぞれの産業をかけ合わせることで、新たな付加価値を生み出す取り組みのことです。直近では、ファームで育てているホップを使ったビールの試作を作っているところなんですよ。これからは、そういう6次産業化の事例を増やしていきたいですね。 また、ファームを増やしたり、アート事業を拡大したりしていくことで、雇用人数を増やしていきたいと思っています。私自身、俳優になってから日の目を浴びるようになるまで長い時間がかかったので、いろいろな人が社会に出ていけるようなフィールドを作りたいです。 ── 最後に、今の事業を続けた先に思い描く理想の未来を教えてください。 美味しいものを「美味しい」と食べ続けられる未来です。そのために会社としても「明日を耕す」というパーパスを掲げているので、自分や周囲の人の幸せから食の未来につながる土壌づくりをしていきたいです。
文 : 安藤ショウカ 取材・編集 : 木村和歌菜 撮影 : 唐牛航 へアメイク : 山口恵理子 衣装 : ブラウス、パンツ、ベルト (すべて ル フィル/ル フィル ニュウマン 新宿店 )