俳優・小林涼子、経営者との両立を支える「美味しいをいつまでも」の思い #豊かな未来を創る人
── 環境負荷の少ない次世代の循環型農業として近年注目される「アクアポニックス」ですが、取り組む中で難しさを感じるところはありますか? 実は、こうして屋外に設置しているアクアポニックスは珍しくて、やっぱり気候の変化への対応はすごく大変ですね。たくさん雨が降れば水量を調整しなければならないし、太陽が当たらないときは晴れることを祈って過ごすことしかできないですし。 ただ、太陽が良く当たって風も通るからこそ、健康な植物が育つのも確かなんです。例えば、エディブルフラワーは室内の水耕栽培で育てている場合が多く、発色が弱かったり、弱い株になったりしがちです。でも、ここで育つ花は発色が良く、生育も良いので一つのファームで月に約2,000輪もの花が咲きます。
── 自然環境下で行っているからこそ難しい反面、メリットもあるのですね。そうした魚や植物の世話はどのように行っているのですか? 「AGRIKO FARM PW桜新町」では、プレミアムウォーター株式会社さんと協業で障がい者雇用の支援を行っていて、平日は障がい者の方々がスタッフとして魚や植物のお世話をしてくださっています。また、育てるだけでなく、いつ、何を、どのように育てて収穫し、出荷するかを調べたり考えたりするところから一緒に作っているファームなんです。 このファームでは、農地が少なく農福連携が難しい都市部においても安定して雇用を生むことができています。また、育てたものをお店で使っていただく様子を間近で見られることで、働く方にとっても仕事を通じて社会に貢献できる実感も得られる場となっています。 ── 障がいのある方が農業で活躍することを通じて、生きがいを持って社会に参加していく取り組みである「農福連携」。実践する中で、課題を感じることはありますか。 人も農業も日々変わっていくものであることの難しさを感じています。障がいもいろいろな特性があるし、人も日々それぞれ状況が変わるし、気候も毎年違うし、答えがないんですよね。よく観察して試行錯誤するしかなくて、何が正解なのか日々考えています。でも楽しい方が大きいですね。