冬のフィンランドは何が魅力なのか?
フィンランドはサンタクロースや、ムーミンの故郷として知られる北欧の国だ。国土面積は日本のおよそ9割だが、人口は560万人でその多くが首都ヘルシンキを中心とした国の南部に集中している。 【画像】冬のフィンランドは何が魅力なのか?
寒くても気持ちがいい
日本からはフィンランド航空の直行便があり、夜10時に羽田を出発、翌日朝4時にヘルシンキ到着、と1日を有効に使える。ロシア上空が飛べなくなり飛行時間は13時間程度に伸びたが、北回りの場合は乗客に「北極点通過証明書」が配られるなど、マイナスをプラスに活かすアイデアが見られる。 またフィンランドらしく、機内食の紙ナプキンはマリメッコのデザインでカテラリーは木製、とエコに配慮しつつ旅への期待を盛り上げてくれる。 午前4時に到着、そこから空港を出ても5時前には始発電車でヘルシンキ中心部に向かえる。料金は4.1ユーロで所用時間は40分ほどなので、6時前にはヘルシンキ中央駅に到着できる。公共交通は発達しており、バス、路面電車、地下鉄などが市街地をカバーしている。 ただし11月半ばのこの時期は日の出が8時台、日没が3時台で日照時間は短く、しかも太陽の位置が低いために1日中夕暮れのような日差しとなる。気温は高くても5度前後、氷点下になることもあるため防寒着は必須だ。寒くはあるが、空気が澄んでいるため爽快に感じる。 ヘルシンキ周辺の人口は約140万人で、欧米や日本の首都と比較すると高層ビルがなく空が広い。市内で最も目立つ建造物はルーテル派の大聖堂で、近くに市庁舎やレンガ作りのマーケットホールがある。クリスマスが近づくと辺りにはクリスマスマーケットが開かれ、暖かく賑やかな雰囲気となる。マーケット開催は11月29日からだ。 白を基調としたルーテル派のヘルシンキ大聖堂の先にあるレンガ色の聖堂は、フィンランド正教会の聖堂、ウスペンスキー寺院だ。ロシアと国境を接するフィンランドは古くから文化的にスカンジナビア諸国とロシアの中間に位置し、市内にはロシアのアレクサンドル2世の銅像もある。現在はウクライナ侵攻もあり政治的にはロシアと距離を置いている。 国内には20万近い湖があり、ヘルシンキに住む多くの人はサマーコテージと呼ばれる別荘を郊外に持つ。夏の時期は湖畔の散策やサウナを楽しみ、人々には「他人の所有地であっても森を自由に散策し、ベリー類やキノコを摘む権利」が保証されている、という。 バルト海の海の幸、ベリー類やキノコ、ラップランドのトナカイ肉などが名物のフィンランド料理は、シンプルで素朴だが日本人の口には合う。特に朝食に供されるお米のパイ、カルヤランピーラッカは、カリカリのパイにミルク粥の取り合わせで、ねっとりした米の食感が懐かしい味わいだ。卵バターを上にのせて食すと格別だ。 マーケットホールには様々な果物のジャムやトナカイ肉のサラミ、サーモンスープやサーモンの燻製、キャビア、色とりどりの焼き菓子などが並ぶ。ジャムはブルーベリー、クランベリー、コケモモなどが中心だが、ラップランドでしか採れない貴重なヒッラというクラウドベリーの甘酸っぱいジャムも人気だ。