地価上昇を後押し、不動産投資「REIT」とは?/いちのせかつみの生活経済
東京、大阪、名古屋の3大都市圏の地価(全用途)が値上がりした。国土交通省が発表した2014年1月1日時点の公示地価によると、前年比で0.7%上昇、リーマン・ショック発生時以来、6年ぶりのプラスという。地方圏も下げ止まりの傾向。その一因と言われているのが、「REIT」(不動産投資信託)マネー。都市の商業施設だけでなく、近年では介護や医療などの施設に投資するヘルスケア型の「REIT」も活発だという。 近年、注目が高まっている「REIT」について、生活経済ジャーナリストのいちのせかつみさんが解説。 増税後に家を買っても損しない「すまい給付金」とは/いちのせかつみの生活経済
マイホーム以外の不動産を所有することは夢のまた夢と思っていませんか? 不動産投資は限られた資産家のものだと諦めていませんか?日本の土地は戦後の高度成長とともに日本経済を牽引してきました。土地を持ってさえいれば財産は増え続けるまでいわれた「土地神話」は、バブル崩壊後、坂を転げ落ちるように暴落し、今や遠い昔のおとぎ話です。 ここに来て、アベノミクスの経済戦略をうけて景気が上向きになり、それに歩調を合わせて土地の価格にも変化が現れてきました。その一因となっているのが、「不動産投資信託」ことREIT(Real Estate Investment Trust、リート)の存在です。
どんな金融商品なのか
REITは、投資家から資金を集めて、不動産に投資する金融商品の一つです。 不動産に特化した投資信託で、投資のプロが投資物件を選んで運用するため不動産に関わる複雑な手続きや難しい法律など専門的な知識がなくても購入することができます。 そして、何より5000円程度から購入できます。少ない資金でリッチな気持ちにさせてくれるのです。投資した物件の家賃収入等のほとんどが投資家へ還元され、高い利回りをつけているREITもあります。
元本割れもあるので注意を
投資対象としては、オフィスやマンション、商業施設など複数に分散されていることでリスクも分散されます。また、不動産はインフレに強いといわれ、インフレを促進する動きに対して敏感に反応しています。だだし、元本を保証するものではなく、元本割れの危険性は含んでいます。また、投資先の不動産が地震や災害によって大きな打撃を受けた場合は、価値が著しく低下したり、分配金などが支払われない可能性もあります。 遠い存在であった不動産投資がREITによって身近なものになってきました。これからの不動産投資は、現物を所有する時代から投資信託という金融商品を所有する時代になりそうです。再び「土地神話」が復活するかは、REITが鍵を握っているようです。 ■いちのせかつみ ファイナンシャル・プランナー、生活経済ジャーナリスト。平成6年にCFP(R)資格を取得。家計からみた人生設計の考え方に関しては第一人者。レギュラー・コメンテーターとして、毎日放送、朝日放送などのテレビやラジオに出演する一方、講演会やセミナー、執筆活動など多方面で活躍中。