わずか5日で売り切れ!「コペン20周年記念車」が示したスポーツカーの価値
ダイハツは6月19日、軽自動車の2人乗りオープンカー「コペン」のデビュー20周年を記念した、1000台限定の特別仕様車を秋に発売すると発表しました。翌20日から予約を始めました。 【画像】「WRX S4」のコンセプトモデル するとどうでしょう、あっという間に受注が1000台に達し、24日には受注終了となってしまいました。なんと発表から終了まで、たったの5日間。驚きの人気です。 ちなみに、「コペン」は、2002年に初代が誕生し、14年にフルモデルチェンジで第2世代となりました。初代の販売台数は約5万8000台、2代目は約3万5000台。20年間の累計の販売数は、約9万3000台となります。20年間で割ると年間販売台数は4650台。これは、ダイハツとしては、正直、とても小さな数字です。 ダイハツの主力モデルである同じ軽自動車の「ムーヴ」の22年5月の販売台数は6070台でした。つまり、「コペン」は一年かけても、「ムーヴ」のひと月分の販売台数にも届かないのです。
「うちのフラッグシップ」
しかし、そんな「コペン」のことをダイハツは「うちのフラッグシップ」と呼びます。 20周年特別仕様車のメディア向け説明会に登場した営業担当者は「可愛くいて、可愛くてしかたない」と、何度も繰り返していました。「コペン」を誇りに思い、大切にしていることが伝わってきます。その姿を見て感じたのは「自動車メーカーにとって、スポーツカーが、いかに大切なものであるか」ということです。「コペン」を愛しく思うことは、そのまま自社製品への誇りとなり、ひるがえっては愛社精神にもつながることでしょう。対外的には、当然、「コペン」を通じて、ダイハツのファンを育て、増やす結果となります。 いわゆる、目に見えない効果があるのです。 そういう意味では、日産の「フェアレディZ」も販売の数字以上の重要度があるといえます。「フェアレディZ」は、1969年に初代が誕生し、日本だけでなく米国でも大ヒットモデルとなったスポーツカーです。しかし、90年代になって日産の業績が悪化。ルノーとの提携の下、リストラ屋であるカルロス・ゴーン氏を迎えることになりました。ゴーン氏は大胆なリストラを実施しましたが、スポーツカーである「フェアレディZ」だけは新型車開発を推進します。 そうして2002年に登場した先々代の「フェアレディZ」は、新生日産の象徴のように見えました。また、そのゴーン氏を追放し、新しく日産の経営を担うようになった現経営陣も新型「フェアレディZ」を誕生させています。日産ファンを引き寄せ、社内の一体感を醸成するには、スポーツカーである「フェアレディZ」が大きく役立ったのでしょう。