メキシコは米関税でもニアショアリングで恩恵=BofA
Aida Pelaez-Fernandez [メキシコ市 28日 ロイター] - 米銀行大手バンク・オブ・アメリカ(BofA)のメキシコ事業トップ、エミリオ・ロマーノ氏は記者会見で、トランプ米次期大統領がメキシコからの輸入品に関税を課すとしても、企業が一大消費地の米国の近くに製造拠点を移してサプライチェーン(供給網)を強化する「ニアショアリング」の動きでメキシコは恩恵を受けることができると強気な見方を示した。 トランプ氏は今月25日、就任初日にメキシコとカナダからの全ての輸入品に25%の関税を課すとけん制した。市場が動揺し、多国籍企業によるメキシコへの投資の見通しに暗雲が立ちこめた。 カナダと米国、メキシコの3カ国は自由貿易協定(FTA)「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」を結んでおり、2026年に見直しが予定されている。特に米国とメキシコの経済は、相互の輸出入に大きく依存している。 ロマーノ氏は「内的であれ、外的であれ、不確実性がメキシコのビジネスチャンスを変えたり、低減したりすることは非常に難しい」とし、「私たちはニアショアリングや、(同盟国・友好国でサプライチェーンを構築する)フレンドショアリングの現象が失われることはないと確信している」と言及。その上で「メキシコがUSMCAを離脱することはないだろう。逆戻りは起きない」との見方を示した ロマーノ氏は、BofAが今後5年以内にメキシコでの収益と顧客数が倍増するとの見通しも表明。BofAはメキシコで機関投資家向けのバンキングサービスを提供しており、顧客数が800社に倍増すると予測した。同社はメキシコでは個人顧客向けのサービスを提供していない。 一方、収益見通しについては詳細な説明を避けた。 ロマーノ氏は、トランプ氏の関税方針による市場のボラティリティーが今後も続くと予想した。ただ、それはトランプ氏が通商交渉を開始するための交渉戦略であり、表明した関税割合が実際に課される可能性は低いとの見解を示した。