高齢化進む田園地域にガソリンスタンド復活 2年4カ月ぶり「本当にうれしい」 間違いなく必要だから....自動車販売・整備会社が事業承継 鳥取県
後継者不在などを理由に閉店した米子市郊外のガソリンスタンド(GS)がこのほど、2年4カ月ぶりに営業を再開した。鳥取県中部の自動車販売・整備会社が事業承継。生活を支える身近なGSの復活に地元は喜び、利用している。 【消えるGS】全国給油所 29年連続減少 島根7カ所減の291カ所 3月末時点
GSは米子市奈喜良の成実石油(1970年設立)。後継者不在で、地下タンクの更新負担も大きく、2022年3月末で閉店した。 県事業承継・引継ぎ支援センターの橋渡しで、県内でGS経営を手がける真木(しんぎ)自動車(鳥取県湯梨浜町長江)が、地域でなじんだ屋号とともに引き継ぎ、今年8月10日にオープンした。 地下タンクなどの設備更新を行い、3人を新規雇用。フルサービス、セルフの併用で、年中無休(営業時間午前7時~午後8時)で営業する。 高齢化が進む田園地域にあり、灯油のほか、農機向けの燃料のニーズも高いため、地元唯一のGSの閉店は住民にとって影響が大きかった。待望の復活に、地元農家組合と連名で祝いの花束を贈った奈喜良自治会(97世帯)の西山正一会長(65)は「本当にうれしい」と、初日は朝から車の給油に訪れた。 ガソリン需要の縮小などで全国でもGS減少が続く中、真木自動車の中村宏一郎社長は、承継を決めた大きな理由を「地域で間違いなく必要とされている」と説明。GSは「地域の応援」が不可欠とした上で、一定のニーズがあれば、灯油の宅配や、車の販売、整備などの自動車関連サービスを検討するとした。