【ウインターカップ2024】大阪薫英女学院の安藤香織ヘッドコーチ「三位一体となって日本一を目指す」
「本当に変わらないとウインターカップに行けないよ」
──2年生の選手にリーダーを任せたわけですね。どんな選手ですか? 1年生からずっとBチームなんですけど、Bチームに甘んじることなく頑張ってきた選手です。Aチームに上がれないとBチームに慣れてしまいがちですが、幡出は1年生の頃からずっと「絶対Aに上がりたい、上がりたい上がりたい!」というエナジーが出ている子です。身体が小さくて食べても食べても体重が増えない細い選手なのですが、その子が練習から一番エナジーを出す。そうやって練習で手を抜かない、試合で声が出せるのが幡出であり、もう一人が三輪美良々でした。幡出は近畿ブロック大会では5分、インターハイ出場を決めた大阪の決勝リーグでも3分とか4分しか出ていない選手で、力がある選手ではないです。でも、こういうスタイルじゃなければ勝つことはできないと私は思っています。 ──夏のインターハイではベスト32で聖和学園に敗れました。 私が薫英に来てからベスト16にはずっと入っていたので、2回戦負けは初めてでした。でも、良い時も悪い時もあって、そこをどう乗り越えるかだと選手たちにはずっと言っています。インターハイで負けた時も怒るわけじゃなく、チームミーティングをやって「ここから本当に変わらないとウインターカップに行けないよ」と。 ──今年は大阪からウインターカップが1枠しかありませんでした。 その話から始まって、みんなそれぞれの立場で日本一を目指してどれだけやれるか。そこで3年生の力がないとやっぱりダメだと高橋をリーダーの立場に戻しました。そこで幡出がケガで出れない時に、1年生の松本璃音が出てきて3ポイントシュートをバンバン決めて、国体でも大活躍して。それを間近で見ていた幡出が「やっぱり3ポイントシュートの確率をもっと上げないと、ポジションがなくなる」と言い出して。そこから練習が終わって体育館から音がすると思ったら幡出とか2年生がずっとシュートを打ってて。トップリーグも今回のウインターカップ予選でも、ゾーンを張られて苦しいところで幡出の3ポイントシュートで勝ってきています。 幡出がいっぱい失敗しながら成長するのとともにチームも成長してきた感じです。最初はぐちゃぐちゃでしたし、本当は最初からみんな率先してやってくれるのが理想でしたが、結果としてチームになってきています。三輪も今年は病気があって思うようにプレーできず、チームも苦しい中でインサイドで身体を張ってトップリーグで桜花学園に勝ったり。3年生もベンチから出ても嫌な空気は一切出さずにチームのためにやってくれるし、1年生は3年生がバックアップで控えている分、思い切ってやれています。負けた経験はいっぱいありましたが、三輪も帰って来て、ようやくウインターカップに向けて、という感じです。 ──様々な苦労がありましたが、それでもウインターカップでの目標は日本一ですよね? シードもないし、ウチに取材に来て大丈夫ですか、という感じですけど(笑)、そりゃあ目指すのは日本一ですよね。チャンスはあると思います。 今年、大阪人間科学大がリーグ戦で全勝優勝したんですよ。2位の武庫川女子大との試合は、前日にウインターカップ出場を決めた薫英の選手と全員で応援に行って、延長で勝ったんです。留学生のウェイドゼイ・フェイボー・オニニェに20点以上、20リバウンド以上を取られて、どうやっても負けゲームの展開で第4クォーター開始時点で15点負けていたところから、前からプレスを掛けて、島袋、熊谷(のどか)、双子と3ポイントシュートを次々と決めて大逆転。これが留学生のいるチームに勝つバスケだぞ、というのを見せてくれました。