ビビリ自称も「逃げない」 パナソニック生え抜き初の女性取締役就任予定、少徳彩子さん
働く女性のキャリアスパイス(5)
結婚や出産で女性が職場から去っていったのは昔の話。ライフイベントも経ながら働き続けていくのが、令和の女性たちに多いワークスタイルだ。とはいえ、ロールモデルが身近にいなくて先行きが見通せなかったり、働き始めた頃とは違って「成長」を実感できなかったりで悩むことも。先輩女性たちはどんな体験をバネにキャリアを築いていったのだろうか。活躍する女性に、自身を今に導いた「あの頃」や迷いを脱する助けとなった「こんな言葉」を語ってもらう。
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2022年4月、持ち株会社制への移行でパナソニックホールディングス(HD)が発足した。同社はいま、グループを挙げて「多様な人材がそれぞれの力を最大限発揮できる最も『働きがい』のある会社」を目指した取り組みを進めている。 取り組みの三大柱の1つは「DEIの推進」。「DEI」の「D」はダイバーシティ(多様性)、「I」はインクルージョン(同社による日本語での表現は「包括性」)、双方の間にある「E」はエクイティ(同「公平性」)で、これら3つの英単語から、それぞれの頭文字を取る形で略した言葉だ(同社の本来の表現では”Diversity,Equity&Inclusion”の略)。 今回は、そんなパナソニックHDで22年6月、取締役に就任予定の少徳彩子さんにご登場いただく。少徳さんは1991年に松下電器産業(後のパナソニック、現パナソニックHDと8子会社=以下、本記述を省略)に入社し、現在はパナソニックHD執行役員グループ・ゼネラル・カウンセル(GC、法務担当役員)を務める。生え抜き女性が取締役に就任するのは、創業以来の100年超の歴史のなかで初めてのこととなる。
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■深みとつやのあるアルトの声。時折、笑いを誘う自虐的なコメントを挟みつつ、理路整然と言葉をつむいでいく。そこに声の音質があいまって、いかにも法務担当の役員らしい説得力のある話し方が印象的だ。実際、30年あまりの社歴の約3分の2を法務畑で過ごしてきた。しかし、「いつまで働くか」を含め、入社前後の仕事観は、まったく別なものだった。