定年延長で大量発生?…職場によくいる「残念なシニア」3類型
再雇用の結果、「残念なシニア」が大量発生
2013年に「改正高齢者雇用安定法」が施行され、60歳定年後の就労希望者全員を65歳まで雇用することが企業に義務付けられました。 多くの企業は、その手段として、定年延長や定年廃止ではなく、再雇用を選択しています。定年後再雇用者の数は年々増えており、読者の皆さんも、再雇用シニアと同じ職場で働くことが珍しくなくなったかと思います。 では、そういった再雇用シニアの方々の実際の働きぶりや、職場での評判はいかがでしょうか? 私がこれまでに見聞きしてきた再雇用シニア数百人に関する情報から推察しますと、その存在価値が認められ、周囲からリスペクトされている「尊敬されるシニア」の割合は、多くてもせいぜい2割程度であり、大部分の再雇用者の働きぶりは決して良好とは言えない状況です。60歳到達以前はいきいきと活躍していた社員であっても、再雇用シニアに立場が変わった後は、同僚から煙たがられる存在になってしまっていることも珍しくありません。 そういった、会社や周囲からの期待に十分に応えていないシニアについて、本記事では「残念なシニア」と総称しています。 一言で残念なシニアと言ってもその種類は様々です。大きくは「迷惑系」「勘違い系」「無力系」の3系統に分類され、図表1の通り、それぞれの系統でいくつかのタイプに類型化することができます。 図表1の類型に基づき、残念なシニアについてイメージを確認していきましょう。それぞれのタイプについて簡単に説明しますので、読者の会社に該当するシニアがいるかどうか、実在の人物を思い浮かべてみてください。
いるいる…他人の仕事を増やす「迷惑系」シニア
<A. 迷惑系の残念なシニア> 「迷惑系」の特徴は、そのシニアが動けば動くほど周囲の同僚にとって余計な仕事が増えてしまう点にあります。 その1つ目、A-1の「時間泥棒シニア」は、細かな実務を独力で担うことができないシニアを指します。特にPCやICT機器の操作を苦手とする場合が多く、操作方法を何度教えても同僚に助けを求め、周囲の時間を奪います。また、話が長いことも多く、しかも同じ話を何度もするため、職場の同僚はうんざりしている傾向にあります。 新型コロナウイルスの感染拡大防止のために多くの企業でテレワークが導入されましたが、時間泥棒シニアはテレワーク環境下において満足に仕事をすることすらままなりません。 2つ目のA-2「騒音シニア」は、シンプルに声の音量が非常に大きいシニアを意味します。加齢に伴って耳が遠くなってきた方にありがちですが、声の大きさが周囲にとって煩わしく、同僚の集中力を削いでしまいます。また、シニアはEメールやビジネスチャットツールなどでのやり取りよりも電話による会話を好む傾向にあります。相手や周囲の都合を考えず、ところかまわず電話をし、しかも大きな声で話すため、職場で騒音をまき散らす結果につながります。 迷惑系の最後、A-3は「暴走シニア」です。会社で失うものが何もなく、怖いものなしの状態をいいことに、やりたい放題するシニアを指します。このタイプに責任感の欠如が加わってしまうと、その尻拭いをしなければならない周囲の関係者はたまったものではありません。 以上が迷惑系の残念なシニアでした。皆さんの会社にも当てはまる人がいたのではないでしょうか。特にA-1の時間泥棒シニアはかなりの確率で存在していると想定されます。しかも本人には悪気がなかったりする(むしろPCやICT機器を操作できないことを誇りとしている)分、余計にやっかいです。