年齢を重ねることを楽しむ! 『カクレンジャー 第三部』小川輝晃&広瀬仁美対談
『カクレンジャー』のヒロインは……
◆『カクレンジャー』のヒロインは……◆ ――『第三部』はカクレンジャー5人のいい意味でのライトさというか、近所のお兄さん・お姉さん感がそのままだったのが個人的に観ていて嬉しかったです。 広瀬 「いるいる、こういう人たち」みたいな。 小川 程よくどんくさい、っていう(笑)。 ――鶴姫が呼んだらみんなすぐ集まる、というのもいいなと。 小川 呼ばれたら「ああ、行くよ」って(笑)。海外にいても集まれるんですよね。 広瀬 ジライヤはピョンピョン跳んできてるのかな? 普通に飛行機? 小川 カエル(ゴッドガンマー)に乗って来てるんじゃない(笑)? ――(笑)。30年経ったサスケ、鶴姫を演じる際に意識したことはなんですか? 小川 僕としては熱いを通り越した暑苦しさと、若干の成長がほしいとは思っていました。よく皆さんに『カクレンジャー』って第一部はコミカルで、第二部は真面目になるって言っていただくんですよね。サスケだけでなくほかのみんなも、ちょっと抜けている部分はあるけど真面目な場面ではスッと入っていく、ってことは考えていたのかなと思います。坂本(浩一)監督もまさにそのことをわかっていて、第三部では前半戦はコミカルに、アイキャッチ後の後半戦は真面目な方向に演出していただいていて、とてもやりやすかったです。 ――実際、老眼のくだりなどに第一部のコミカルさが出ていた気がします。 広瀬 あそこ楽しかったね。 小川 楽しかった。あのシーン、実は2パターン芝居を考えていたんですよ。最初から自分が老眼だとわかっているパターンと、自分も老眼だと気づくパターンで。結果的には後者の芝居をしました。 広瀬 小バカにしようとしてパッと取ったら……(笑)。みんなも「出た!」みたいな芝居をしていて、ああいうのをチームワークって言うんだろうな。 小川 僕がリハーサルでやったらみんなすぐリアクションしてくれて、あれはとても良かった。 広瀬 鶴姫は気が強くてリーダーってキャラはあるけど、サスケたちほどしっかりした特徴はないんです。 小川 そういえばそうかも。 広瀬 なので、あくまでまとめ役に徹しているというか、年月を経ているからちょっとお母さん的な感じで演じたくらいで。あまり何かをする人じゃないんです、鶴姫って。シレっとみんなの中にいて、「ちゃんとやって」と言っているだけ。 小川 僕らはいつもサスケと鶴姫、どっちがリーダーかで揉めるんです(笑)。考えてみたら今回も、暑苦しく盛り上がっている俺らを最後に締めているのは姫なんですよね。 広瀬 そう、サスケは暑苦しいってキャラがあるじゃん。 小川 あぁ、納得した(笑)。変身するときも、最後に「行くわよ!」って締めるのは姫で、サスケは「最後のスーパー変化だ!」って言っちゃってるだけ。 広瀬 言っちゃってる(笑)。熱いから想いが口から出ちゃうんだろうね。 ――鶴姫と父親の義輝のシーンがあったことも、ファンとしては嬉しいポイントでした。 広瀬 そうですね、「お父様」と言えて良かったです。本編で何度「お父様!」って叫んだことか。 小川 「義輝さん」って呼んだのは初めてだったな。当時は白面郎としか言っていなくて、最初に名前を見たときは「誰だっけ?」となりました。そして……。 小川・広瀬 三郎、四郎(笑)。 小川 本編では出てきていないのに、めちゃくちゃ仲が良かったみたいな感じで。しかも面白いのが、双子の太郎と次郎がいて三郎と四郎も双子だから、4人とも顔そっくり(笑)! 広瀬 本当だよ(笑)。 ――5人の素面でのアクションシーンにも驚かされました。 小川 みんなのアクションもカメラワークもすごく良かった。僕としては若干物足りなかったけど。 広瀬 もっとやりたかった? 小川 うん。4人が戦っている間は封印の扉のところにいて、後から駆けつけてタタタっとやって終わりだったから。 広瀬 当時はもっと戦っていたもんね、サスケは。 ――最後にサスケがやってきて決める、というのもある意味『カクレンジャー』らしかったかと。 小川 確かに! 広瀬 アクション練習したよね。本番では一回で決められたけど、練習はダメダメだった。同じ日に「ニンジャ・エクササイズ」(※ジライヤ役のケイン・コスギさんが考案したエクササイズ。TTFCでカクレンジャーキャストの実演動画、さらにその練習風景も会員限定見放題配信中)も、やったけど、ダメダメで(笑)。 小川 本当(笑)。プラスで面白いのが、完璧だと思われているケインのダンス。ここも見どころだよね。 広瀬 かわいらしかった。ケインはうちのヒロインなんですよ、紅一点の私じゃなくて。 小川 姫はリーダー枠ですから。 広瀬 うちのヒロインはケイン・コスギ、ジライヤです。もうかわいくてしょうがない。 小川 しかも、最近自分でもそれを自覚しはじめていて。 広瀬 そう、ちょっとわかってきちゃった。 小川 あざとくなってきてる(笑)。 ――確かに終盤のセイカイとの掛け合いは、かわいさが爆発していた気が(笑)。 小川 あれは河合とケインがほぼアドリブでやっているんですよ。 広瀬 何回もテストやったけど、そのたびに笑っちゃったもん。 ――新キャストの皆さんも、印象的な活躍を見せていました。 広瀬 本当に豪華。 小川 あれは坂本監督の手腕、センスだと思うんですが、今活躍されている方の中でもよりデジタルネイティブというか、新世代の人たちをキャスティングしていただけた感じがして。ひと言しゃべるだけでも旧世代の僕たちとの違いがわかる、明確な色分けがされていると思います。だから、最初の本読みのときは少し面食らったところもありました。 広瀬 「こんなにサラッとした芝居が出てくるんだ」って。 小川 そう、僕らにはできない(笑)。決してエネルギーがないわけではないのに、サラっとした芝居をしていることがすごいし、逆に僕たちの空気感が映えて見えた気もしました。 ――特に吾郎役の大森元貴さんの熱演は素晴らしかったと思います。 小川 大森くんは第一線を今走っている方だからか、取り組む姿勢がすごかったですね。僕たちの空気感の中に入っていって、誰よりも現場を見ているんです。 広瀬 しかも、とんでもなく暑くて埃まみれの中、ずっと撮影を見守っていて。『カクレンジャー』が好きなのもあるだろうけど、大森くんの誠実さを感じました。 (C)東映特撮ファンクラブ (C)東映