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[インタビュー]コロナ時代の放送界「質の高いコンテンツと国際共同制作は必須」

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ハンギョレ新聞

ファクチュアル番組専門会社 ユニークスタジオズのイ・チャンス代表

 「テレビ局はもう古典的な方式で制作・編成していてはだめだ。ニューメディア時代では、滅びる近道となる」  ドキュメンタリーなどファクチュアル(事実に基づいた)番組を専門に制作するユニークスタジオズのイ・チャンス代表は18日、ソウル麻浦区(マポグ)のハンギョレ新聞社でのインタビューで、壊滅の危機にある地上波放送をはじめ韓国国内の放送界に苦言を呈した。視聴率が下がるからといって、ドキュメンタリーなどの高品質のコンテンツには目を向けず、各放送局ではトロットの音楽番組や食べることがメインのバラエティ番組、マクチャンドラマ(非現実的なストーリー展開のドラマ)、トークショーばかりを流すなど、コンテンツの多様性や差別性が著しく落ちる韓国の現状を指摘したのだ。  1991年、韓国放送(KBS)の助演出で放送界の門をくぐったイ代表は、プロダクション第1世代、ケーブル放送、地域民放、KBS衛星テレビなど、当時としてはニューメディアだったプラットフォームを渡り歩いた後、2000年から独立制作会社を運営している。デジタル時代を迎え、メディアが急激な環境変化に直面したとはいえ、実は過去にもニューメディアの登場をめぐる挑戦は存在した。ラジオ時代にはテレビの登場が、地上波時代にはケーブル放送の登場が、さらなる挑戦であり激変だったわけだ。  新しいメディアが登場するたびに、コンテンツは多様になったのだろうか。イ代表は「ケーブル放送の初期にはお話にならないような番組も多かった。ニューメディアが根を下ろして定着する前にまた別の競争体制が登場し、市場環境はさらに悪くなった」とし、「総合編成チャンネル(総編)が出た時も混乱した。市場は1、2チャンネルくらいが可能になるだろうと思ったが、政府が4チャンネルも許可したから、激しい競争が始まり、むしろコンテンツの質は低くなった」と批判した。  イ代表は、国内の放送局がドラマに全力投球する風土も憂えた。「ドラマへの投資は投機性が高い。一つ大当たりすれば一年は食べていけるという概念が固定化された。実際には、注目されるドラマは1年に4、5本しかない。このようにドラマに巨額を投資すれば、残りのジャンルはすべて死んでいく。総合編成チャンネルができてから、その傾向はもっとひどくなった」。イ代表は「総合編成チャンネルができればコンテンツが多様化し、政策会社に機会が来ると言っていたが、現実は外注制作会社に対する搾取はさらにひどくなった」と声を強めた。  イ代表は、コンテンツをないがしろにする国内から脱し、グローバル市場の開拓に乗り出した。2011年の延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件当時の緊迫した状況で、西海5島の海に暮らす住民の哀歓と生態環境にスポットを当てた深層ドキュメンタリー番組「NLL365」で、海外の有名配給会社を訪ねた。国内では好評だったが、海外の配給会社の反応は冷ややかだった。「なぜこれを配給しなければならないのか100回以上聞かれた。韓国のドキュメンタリーは、ストーリーテリングが難しい言われた」。朝鮮半島の歴史と文化的脈絡を知らない彼らに、映像だけで説明できる問題ではなかった。ドキュメンタリーのテーマだけでなく、ネットワークの限界も痛感した。「彼らにとっては企画者が誰なのか重要だった。英語圏はお互いに情報を交換し、しっかりした連帯を作っているが、アジアの端にいる我々はアウトサイダーだった」と最初の挑戦の難しさを吐露した。その後10年間努力を積み上げ、国際社会で信頼を築いてきた。  英国公営放送「BBC」が2年前に報道・編成だけを残して内部制作チームを子会社として独立させた変身からも、韓国放送界の経営難の克服のための示唆点を見出した。イ代表は「BBCはプラットフォームとしてはこれ以上存続させるのは難しいと判断し、ドラマ・コメディ・芸能・ドキュメンタリーなどのインハウス製作チームと、世界的配給会社のBBCワールドワイドを合併し、『BBCスタジオ』という商業会社を設立して独立させた。今はこの売上げ構造が放送局の生計を立てている。ネットフリックスやディズニーがここのコンテンツを購入したり、ドラマの続編を丸ごと注文したりする」と説明した。イ代表も彼らを協業パートナーに選び、一緒に作品を作ることに力を入れている。  イ代表は「国際共同企画と制作は今や選択ではなく必須」だとし、井の中の蛙を脱しなければならないと強調した。南北を分けるDMZ、済州の海女の物語、スズメバチなど驚異的な野生を描いたドキュメンタリー「ワイルドコリア」は、共同制作の初めての成功を導いた。彼は「平昌(ピョンチャン)冬季五輪を控え、2017年にBBCと一緒に韓国を1年間撮影した。文化的な異質感を考えて、韓国・英国・グローバル向けまで個別で3つのバージョンを作った」と話した。CJ ENMの参加でtvNで放送された韓国バージョンでは、芸能人が出演する。出演者なしで人文学的にアプローチした英国のBBCバージョンも反響が大きかった。「ワイルドコリア」は昨年、ニューヨークフェスティバルで最優秀賞を受賞し、そのレベルを認められた。イ代表は「英国、ドイツ、中国などと協業するが、現場に行かなければならない場合を除いては、現地の専門家を活用すればコンテンツの強者になれる世界」と説明した。特に新型コロナ時代、経費節減と安全のための最適の案だという。今年6月にBBCに放送された「韓国・コロナウイルスと戦う方法」も共同制作の結果だ。  イ代表は、創意的なコンテンツならユーザーが直接探す時代を予告した。「かつては放送局が甲乙の甲の立場だったが、今はコンテンツが『甲』。新型コロナでコンテンツがネタ切れになり、再放送、再々放送が続くが、今後コンテンツの需要はさらに拡大する」とし「ドラマだけでなく、高品質のドキュメンタリーを見るために費用を払ってでもネットフリックスを探しているのはそのような理由からだ」と述べた。  問題は制作費だ。競争力のあるオリジナルコンテンツのためには、制作能力だけでなく莫大な費用が必要だ。イ代表は李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)政権時代に作られた放送コンテンツファンドの活用案を取り上げた。「民間資金と合わせてマッチング方式の母体ファンドになったが、これをうまく利用すれば呼び水になる」とし、「ただし、コンテンツ開発に創意性よりは入札基準を立てて、おかしなところに資金が流れたり、お金を分配したりするなどこれまで発生した運営上の弱点は補わなければならない」と指摘した。 ムン・ヒョンスク先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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