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「コロナ後の社会で、スポーツの価値とは」 日本学術会議フォーラム、議論白熱

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サイエンスポータル

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で多くの人の在宅時間が長くなり、健康維持の観点からスポーツの在り方が注目されるようになった。コンピューターゲームの対戦を競技として捉える「eスポーツ」が普及し、若者の心身への影響が議論されている。東京五輪・パラリンピックの開催が来年に延期された今、社会はスポーツが持つ多様な価値や課題を、改めて見つめる必要に迫られている。

 こうした中、日本学術会議は学術フォーラム「人生におけるスポーツの価値と科学的エビデンス 新型コロナ感染収束後の社会のために」を6月18日に開催した。スポーツ庁からスポーツの価値をテーマに審議依頼を受けた同会議が、回答をとりまとめたのに合わせ、内容の公表と講演などを盛り込んだイベント。コロナ対策のため、予定を変更しオンラインでの開催となった。

「科学的根拠に立脚した練習を」など盛り込む

 審議は鈴木大地スポーツ庁長官が2018年11月、「科学的エビデンスに基づく『スポーツの価値』の普及の在り方に関する審議について」として、次の4つの課題について学術会議に依頼した。(1)日常生活でスポーツに親しむことが個人や社会にどう貢献するか、科学的知見の整理、(2)伝統や慣習、組織や精神文化との関係も含め、スポーツの価値を高めるためのスポーツ界と科学の関係の検討、(3)科学技術や情報技術の変化がスポーツの価値にどう影響するかの科学的知見の整理、(4)スポーツ政策でEBPM(Evidence-Based Policy Making、証拠に基づく政策立案)を推進する体制整備の提案。

 これを受け学術会議は委員会を設置。科学技術振興機構の渡辺美代子副理事を委員長とする有識者ら16人が審議を続けてきた。今回のフォーラムは、この回答を鈴木氏に提出する式典で幕を開けた。

 回答の概要は次のようなものとなった。(1)スポーツは心身の健康や体力増強、学習・認知能力の伸張に好影響を与え、医療費抑制などで社会にも寄与する。障害者を含む多様な人々が参画し、画一的でない実践を促すことが必要、(2)科学的根拠に立脚した練習やコーチングにより、経験主体のスポーツに高度な合理性を与えられる。一方、研究と応用が人間の選別につながらないよう倫理面の配慮が不可欠、(3)競技人口が急増しているeスポーツなど、身体運動を超えた新たな価値に配慮が必要。ゲーム依存の防止策、組織やルールの確立などが急務、(4)政策に反映できる科学的根拠の共有が重要。各機関や現場で収集されたさまざまなデータを共有し包括的に分析するため、各省庁や諸機関、学協会などのネットワークを活用する仕組みが必要。