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「夜の街」より重要な“見えない数字”とは…東京での新型コロナ再流行の読み解き方

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BUSINESS INSIDER JAPAN

今後は「50代以上の孤発例」に注意

では、今後の動向を見守るためにはどういったデータに注目すべきなのか。 報道では、とりわけ「夜の街」の感染の実態にフォーカスが当てられがちだが、和田教授は、現状で特に注目するべき数字は「50代以上の孤発例」(リンクの追えない感染者)だと指摘する。 もともと、感染経路の追えない感染者の割合は3月の頃から注目されてきた。その裏には、「見えない感染者」が存在すると考えられるからだ。 現在、感染者の中心は若者世代。こういった世代と、50代以上の人が直接的な交流をもつ機会は限られている。 そのため、50代以上の孤発例が複数確認された段階で、「20代~30代を中心とした感染の広がりが起きている」という段階から、もう一歩広い範囲での感染の広がり(高リスク層での感染の広がり)が起きている懸念が生まれるというわけだ。 50代以上の感染者は、コロナ以外の理由で入院したあと、コロナだと判明することもある。これは「紛れ込み事例」などと呼ばれ、こういった事例が複数、同じ病院で見られるようになると、その地域内である程度感染が広がってしまっていると考えられるという。 「こういったことが起きると、その地域に対して検査を強化することを考えるべきです。『具合の悪い人への検査を強化すること』が必要になります」(和田教授) 実際に、すでに感染がある程度広がっていると考えられている東京都新宿区では、具合が悪い人だけではなく、感染者が相次いでいるエリアの「症状の出ていない事業者や従業員」らを対象にした集団検診が実施されている。 感染している可能性(事前陽性率)が高い無症状者に対する検査は、7月6日に行われた政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会でも、今後推奨していくとしている。

見えない情報をどこまで出すか

現状、東京都福祉保健局のウェブページで公開されている感染者情報を見ても、確認できるのは年齢と性別のみ。「50代以上の孤発例」や「紛れ込み事例」など、和田教授が注目すべきと指摘した情報について公開情報はなかった。 現時点で公表されている東京都の感染者データからは、大雑把な50代以上の感染者数の増加傾向しか判断できない。 7月7日の感染者106人中、50代以上の感染者は12人(50代6人、60代6人)。7月8日にBusiness Insider Japanが東京都福祉保健局に問い合わせたところ、そのうち感染経路の追えない患者(孤発例)は50代で1人、60代で2人だった。 これまでウェブ上で個別の感染者が孤発例かどうかを公開してこなかった理由について問うと「そこまで手が回っていないのが現状」と担当者は話す。今後も、基本的には公開する予定はないという。 和田教授は、言う。 「できれば、いつ、どんな状況で、どういう人が感染したのかということを知りたいと思っています。とくに、他の病気の疑いで来院して、その後感染が判明した『紛れ込み事例』などのデータも出して欲しい。そうした事例のあった地域の医療機関は検査を強化することになる」 神奈川県をはじめとした他県と比べてみると、東京都が公開している情報は少ない。 一方で、感染者の多い地域や、実際に感染者が確認された場所の名前などを公表する難しさもある。 「夜の街」は、3月末に名指しされて以降、これまでスケープゴートのように扱われてきた。感染者が確認された学校や企業、特定の飲食店などに対しても、差別的な言動が投げつけられているケースがある。 こういったことが続けば、感染対策に欠かせない感染者からの情報提供などが滞ってしまいかねない。 今後、より的確な感染対策を進めるためにも、感染情報を発表する自治体はもちろん、それを報じるメディアも、改めて感染対策のために本当に必要な情報は何なのか、落ち着いて考えるべきだ。 その情報を出すことで、不幸にも感染してしまった個人や、感染者が出てしまった特定の企業などに差別的な目が向けられることは絶対に避けなければならない。

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