元衆議院議長に聞く!衆院選大敗で変わる国会運営 どうなる「103万円の壁」問題【国会トークフロントライン】
■変わる国会 「103万円の壁」問題など与野党での熟慮が必要 ーー衆院選では自民党が大敗。与党が過半数を割り込みました。 伊吹文明 元衆議院議長: やっぱり自民党の派閥と金の問題でずいぶんご迷惑をかけたっていうことは、総裁として一言公明党には申し上げるべきでしょうね。 その上で、今おっしゃったような国会状況になってるから、これが「決められない国会」になるのか、それとも「熟慮して物事を国益に沿って決めていく国会」になるかっていうことにはね。自民党もやはり従来の「党内手続きを取り、公明党さんと話をすれば全て決まるんだ」っていう感覚は少し変えないといけない。 しかし同時に、今度は野党も責任のない立場のときのように自民党を批判して……選挙に有利だから政治と金の問題ばかりを選挙戦で云々するとかね。あるいは、今、議論になってる「103万円の壁」の問題についてもね。これ、「103万円の壁はとり払いますか」という世論調査をすればみんな賛成なんですよね。だけど結果として税収が入ってこない。一部の世論調査では、173万円まですぐに上げろっていうんじゃなくて徐々にやっていきましょうとか、そういう意見になってくるんですね。具体的に「税収が8兆円近く減りますよ」っていうだけじゃなくて、もう少し身近にね、「その結果として市町村がやってる給食の無償化、これはみんな有料になりますけれどもそれでもよろしいですか」っていう聞き方をするとね。やっぱり臨場感が出てきてね、それは毎年少しずつやってもらった方がいいかなとかそういうことになるんですよ。 ただ参議院選挙が控えてるんでね。みんな人気取りのバラマキというか、財源を考えずにあれしてあげるこれしてあげるっていう話がどうしても出てくる状況なんですよね。だから、やっぱり野党にも責任がかなり大きく出てきてるっていうことをね、お互いに認識をしながらやっていくと。予算編成っていうのは、ずいぶん時間をかけて積み上げてくるものですから。国会の審議の中でこれを修正して、もう一度予算書を作り直しということになると、予算の成立はものすごく遅れちゃうんですよ。これは国民生活にどういう影響を与えるかっていうことも野党も考えないといけないということになると、やっぱり事前にかなりの話し合いをしながら、国会外でやっていくというしか仕方がないでしょうね、当面は。