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トレード物語 中日から楽天移籍で大ブレークした「天才打者」とは

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中日ではチャンスがなく…

 今から15年前の2005年オフ。無名の若手選手のトレードがメディアで報じられた。当時23歳の中日・土谷鉄平。落合博満監督が他球団に移籍したほうがレギュラーをつかむチャンスがあると配慮し、金銭トレードで楽天に移籍した。 山崎武司、小早川毅彦、遠山奨志……「野村再生工場」で復活した選手たち  中日では若手の成長株だった。01年ドラフト5位で入団し、遊撃から外野にコンバートされると、04年に代走や外野の守備固めで50試合出場。05年もウエスタン・リーグで打率.336、13盗塁と好成績をマークしたが、一軍出場は2試合のみと激減した。外野陣は福留孝介、アレックス・オチョア、森野将彦、英智、井上一樹などタレントぞろいだったため、チャンスがなかったというのが現状だった。  楽天に移籍し、登録名を「鉄平」に変更して再スタートを切ると覚醒した。移籍1年目に中堅のレギュラーに定着し、103試合出場で打率.303をマーク。リーグトップの7本の三塁打を放った。09年に打率.327、12本塁打で首位打者を獲得。「天才」と評された巧みなバットコントロールで不動の三番になり、両リーグトップとなる13本の三塁打を記録した。オフの契約更改では6800万円増の年俸1億2000万円(金額は推定)で一発サインし、岩隈久志、山崎武司に次ぐチームの日本人選手3人目の大台突破で一流プレーヤーの仲間入り。当時、「よくここまで来られたと思います。移籍は転機になったし、周りからも言われます」と感慨深げに語っていた。  翌10年も打率.313とシーズン3度目の3割をマークするなど主力として長年活躍。13年オフにオリックスに2度目のトレード移籍が決まった際は、「くすぶっていた僕を(楽天が)獲っていただいて、僕の野球人生そのものといってもいいぐらいの8年間だった。ファンの皆さんの期待に応えられなかったときもびっくりするぐらいの声援、鉄平コールを送って頂いた」と感謝を口にした。

トレードによって輝いた好例

 トレードはプロ野球選手の大きな転機になる。ただ、日本はメジャー・リーグと比べるとトレードが盛んでない。「他球団に移籍して活躍されたら困る」とフロントの飼い殺し的な発想が一因にあるだろう。鉄平はトレードによって輝いた好例だ。獲得に乗り出した楽天のフロント、当時の野村克也監督の眼力は称えられるべきだが、「他球団でも活躍してほしい」と一選手の野球人生を考えた落合監督の「親心」も評価されるべきだろう。  鉄平は15年限りで現役引退し、翌16年に球団職員で楽天に復帰。19年に二軍外野守備走塁コーチに就任し、今年から一軍打撃コーチに配置転換された。トレードで3球団を渡り歩いた現役時代の経験は指導する上で大きな糧になるだろう。小深田大翔、内田靖人、渡辺佳明、辰己涼介ら潜在能力を秘めた若手たちの育成に全力を注ぐ。 写真=BBM

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