男子テニスの木下グループ・ジャパン・オープン第5日は29日、東京・有明テニスの森公園で行われ、車いすの部シングルス決勝でパリ・パラリンピック金メダルの18歳、小田凱人（東海理化）がパリ・パラ銅のグスタボ・フェルナンデス（アルゼンチン）に6―3、6―4でストレート勝ちし、2連覇を果たした。 ◇ ストレート勝ちで2連覇を決めると、小田は両手を突き上げ、ラケットをギターに見立てたポーズも披露して喜びをあらわにした。チケットが完売し、大勢の観客が見守る中で行われたパリ・パラ金メダリストの〝凱旋試合〟。車いすテニスのメジャー化を目指す18歳は「想像していた景色がそのまま現実になった感じ。感慨深い」と話した。 決勝の相手はパラ準決勝でも対戦したフェルナンデス。「彼のパワーとスピン量はやりづらい」という難敵だが、第1セットは鋭いボレーや強烈なリターンで相手のサービスゲームを先にブレークして押し切った。第2セットもブレークされた直後のゲームをすぐさま奪い返し、流れを渡さなかった。 初出場した2019年大会は「（観客に）1回、声をかけられたらいい方」だったというが、「今は移動カートに乗っていても声をかけてもらえる。エモーショナルな感じ」。認知度が大きく高まった現状に、幸福と責任感を感じている。すでに4年後のパラ2連覇を見据えており、「いろいろやりたいこともある。ロサンゼルスにはまた違った姿で挑みたい」とさらなる成長を誓った。（奥村信哉）